このような怪談話は往々にして、同じものを好んで(またはちょっとした怖いもの見たさで)見聞きし、あるいは語る間柄で交換された情報に尾ひれがつき構成されたものが殆どです。ですから、この話もそういった類のものだと認識していただきたく思います。私の今から語る話はフィクションであることを前提として、明確な形をもって想像しないでください。
――――――――――――――――――――
私(著者)がその時持ち寄った怪談は、地元の小学校で有名だった、しかし中高ほぼメンバーが変わることのない顔ぶれのなかでは話すことがなかったような内容でした。私とネット上で知り合った友人2人(AとBとでもしておきましょう)は、そこそこ地元が離れていたのもあって、そういった話をしてもつまらなさそうな顔をされる機会は少なかったのです。怪談でもそれは同じようなことだと容易に想像はつきます。オカルトやサブカルチャーへの興味でつながった私たちにとって、ネッ友と肝試し的体験をする、というのは大いに話の種であり、それとは別にとてもわくわくすることでした。その日私たちは以前から同じ趣味でしかやりにくい(畏まった降霊の儀式みたいなものを通して幽霊らしいと感じられる物事を全て余すところなく怖がったり、あるいは死者を冒涜するような行為をして「呪われた」と自分に思い込ませるもの)楽しみを計画していたので、私を含めAもBも少し浮足立っていたのかもしれません。2人の顔を見て笑って、「一旦スタバとか寄らん?」と言って、それで昼にやっても何もならないだろうという考えもあって、近場のカフェやゲームセンターで遊んで過ごしました。私の住んでいるところの最寄り駅に集まってくれることになっていたので、遊び尽くしたら私の家に二人を招きました。
以下は、その日に私が見聞き、及び体験した不可解な出来事です。私も、もちろんAもBも、この出来事を幽霊の仕業だとは思えませんでした。だって、私たちは夜になるまではなにもしていないのですから。
――――――――――――――――――――
A「あのさ、(筆者)ちゃんの家めっちゃ揺れるね…って、別に文句とかじゃなくて。風とかかな。」
B「え、さっき外いた時風吹いとったっけ〜?」Bはかなり人を怖がらせるのが好きで、よくそういった物言いをしていました。
私「え、幽霊?いつも揺れへんからあり得る笑」そんなふうに返した記憶があります。その日百物語をしようと計画していたのもあって、Bはたくさんの話を用意していたようで、その時間から両親が仕事で静かなリビングで、冷房の音とBの楽しそうな声、Aと私の笑い混じりの叫び声が続いていました。何も起きるはずがありません。昼間なんですから。なにもしていないんですから。話を聞いていて、私も先述した学校の怪談を話してみることにしました。大まかに言うと、「細くて長い女の霊が蜘蛛のように徘徊する」という噂。テケテケさんと口裂け女と八尺様を足して3で割ったような話でした。学校の怪談にしては、珍しい話だと思います。だって、因縁も何も伝わっていないんですから。私がその話をしてみせると、AとBが揃って「あ!それうちにもある!」と言いました。おかしいなぁ、珍しくない?と、私は面白くて返したのです。だって、怪談のディテールは、私とAとBほど離れた土地であれば尚更、変わってくるものですから。
おかしいな、と思いました。私もオカルト関係のものが好きでそういった本は図書室にある全てを読み漁っていたので、私が知らない怪談が全国で流行っているもののなかにあるはずがありません。なんでだろう。二人は「あれ怖いよねー」「そうそう、「曲がり角を直視しないようにして」!」と、本を読んだかのように語っていて。
そこでようやく私は思い至りました。うちの学校の図書室にだけ、無いのです。実際にあるようになってしまったから。
二人に「それ、何て題名の本なん?」とか「いつ出版?」とか聞く気も起きず、私はその話題を早々にトイレの花子さんでかき消しました。
――――――――――――――――――――
※この話はフィクションです。




























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。