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心霊

プルプル布顚🍮さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

S駅怪異譚
長編 2026/05/18 15:49 34view

 
ー ⚠︎注意⚠︎ ー

この話は実話を基に作られています。(私の体験談は一切脚色を加えていません。)登場する人物などは全て仮名です。(後、私が以前投稿した「本と霊障」にも関わってきます。本編を読む前に「本と霊障」を読んで頂く事をお勧めします。)

そして、本編を読んだ後・読んでいる最中に何か霊障が起きたり事故が発生してもこちらは一切責任を取りませんのでご了承ください。

本編を読むのは自己責任で宜しくお願い致します。

ー   ー   ー

・駅のホームに佇む女

 「確か、仕事で帰りが遅くなってしまった時の話なんですけど…」
これは、三十代男性のサラリーマン・Kが体験した話だ。彼はその日、残業で帰る時間が大幅に遅れてしまったそうである。
「それで、電車の席に座ってうたた寝してたんです」
Kさんが座席でうつらうつらと寝ていると、誰かに起こされた気がして目が覚めた。電車内のアナウンスで「…次は〜S〜…」と流れている。降りる駅はまだなので、Kさんはまた寝ようとした。が、なぜか眠気は無くなっていて眠れなかった。窓の外を見ていると、電車はS駅に停まった。扉がゆっくりと開く。と、Kさんはとあるものが目に入った。
「女性でした。黒いワンピースを着た、長い黒髪の。その女性は六m先くらいの所で後ろを向いていて、背中しか見えなかったんですけど…」
彼は妙な事に気が付いた。
「動いていない」
と。電車が走ってきたにも関わらず、髪の毛やスカートが一切靡かない。あれは何だ、と思っている内に電車の扉がゆっくりと閉じて、次の駅へと動き出した。
「やっぱりその時も、髪の毛とか服とかが一切靡かなくて、何だか…石像のように思えました」
翌日の夜。Kさんは昨晩とは違い、いつも通りの時間帯に電車に乗った。…のだが、
「その日も居たんです。その女性。しかも…」
昨晩より、三m——前日の半分——程近づいていた。それにKさんは昨晩とは違う車両に乗っている。何故、自分のいる車両が判ったのだろう。
「何故かその女性に気付かれてはいけない気がして、僕はずっとスマホを見てる振りをしてました。女性は電車には乗ってこなかったので電車の扉が閉まった時、どれだけ安心したか…」

その後は何事もなく帰宅した。けれど彼は思った。
「明日の晩、電車にあの女性が乗ってくるんじゃないか、って…」
そう、あと電車と女性までの距離は約半分。そしてその女性は一日で半分近づいていた。
「ちょっと面倒なんですけど、その翌日の晩はS駅の一つ前に降りてタクシーに乗って帰る事にしたんです。」
それでKさんはタクシーに乗った。
「お客さん、どこまで?」
タクシーの運転手に聞かれ、彼はS駅の一つ後の駅まで送ってくれと頼んだ。正直、このまま家までタクシーで帰りたかったが、こんな事でお金を掛けたくなかったため二駅だけにした。ぼーっと窓の外を眺めていると、不意にタクシーの運転手に声を掛けられた。
「お客さん、顔色悪いようですが、大丈夫ですか?」
Kさんは仕事で疲れていたとはいえ、顔色が悪くなる程ではなかった。
「えっと…ちょっと仕事で疲れてるだけですから…」
するとタクシーの運転手は少し眉を顰めて、
「あなたじゃなくて、お隣の女性の方です。」
彼が驚いて隣を見ると、そこには…
誰も居なかった。
「どういう事で…」
後部座席から少し身を乗り出して、バックミラーを見た時。
「うわあぁぁ!!」
そこには血みどろで青白い肌の、黒い服を着た女がいた。その女の口は薄気味悪く弧を描く。
「も、もうここで降ります!」
Kさんは一万円札を焦って一枚座席に置いて、逃げるようにタクシーを降りた。

「お客さん、お釣り…」
Kさんはお釣りを受け取らぬまま、駅まで走っていった。パニックになりながらも駅員に話すと、事務室で少し休ませて貰えた。十分程休むと、ようやく彼は落ち着きを取り戻した。
「大丈夫ですか?もう少し休んだ方がいいんじゃないですか?」
「大丈夫です。家に帰って休みますんで。ありがとうございました。」
Kさんはそう言って駅のホームへと行った。そういえば、焦っていた所為でここが何駅かちゃんと見ていなかった。
「…あれ」
てっきりS駅の一つ後の駅だと思っていたのだが、タクシーから降りたのが早かったからか、今Kさんのいる駅は…
「S駅」
だった。全身に氷水を浴びたかのような悪寒が走る。そして、隣を見ると、
「そこにはあの女がいたんです。女は電車が近づいてくる中、少しずつ体を前の方へ傾けていきました。」
現在、S駅のホームには安全柵があるが、彼が体験した時にはまだ無かった。その女は前へ前へと倒れていき、遂に落ちる…という時、
「危ない!」
「え…?」
目の前を勢いよく電車が通過した。聞けば、どうやら彼は通過する電車に飛び込もうとしていたのである。
「さっき、事務室から出る時、君歩き方がふらふらしてるし顔色真っ青だったから心配になって来たんだよ」
駅員が駆けつけてくれたお陰で大事には至らなかった。Kさんはその後駅を出ると、先程のタクシーがあった。
「いや、お客さんまだほんの少ししか乗ってないのに一万円札置いていったから返そうと追いかけていったんですよ。なんだかふらふらしてましたしね。なんとなく、ここで待ってた方がいい気がしまして…」
彼はその後、そのタクシーで家まで帰った。翌日は仕事を休み、翌々日は仕事をして帰ってきたが、もうあの黒い服の女を見る事は二度となかった。
「あの黒い服の女は僕をあの世へ引き摺り込もうとしていたのか、又は僕の仕事の疲れによる幻覚だったのか、今となっては判りません。……あの後、判った事があります。」
S駅では過去に、二十代女性が人身事故で亡くなっていた。そして、S駅のホームの幅は約四m。最初に女性の立っていた位置———電車から約六m先———は、線路の上だという。

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