ズシ・・と言う足音が複数になり、テントの前を右往左往してるようです。
「起きた?」と友人が小さい声を掛けてきます。
見てみるか? とテントを開けようとするので「やめよう」と私は言いました。
見てはいけないものだ。と思ったのです
ザッ・・ザッ・・ズシ・・ズシ・・と足音と小さな声を聴いていると、どうやら
この屋根の前を複数の人が円になって歩いてるようです。そして声にはどうやら
会話ではなく「まじない」や「呪文」のような鷹揚があり唄とは違うニュアンス
が含まれているのです。
テントに近づいてくる気配は無くて、暫くすると足音は小さくなって遠くに去って
いくように消えてしまいました。
友人は怖がりテントの四隅を交互に眺めていますが、私は結構心が冴えていて
危害は無い。と思い込んでました
ですが、明らかに「人」の音ではないし言葉も「人」のものでは無いと感じて
それは見てはいけないものだと考えました。
そっと時計を見ると夜の3時
そこから友人と二人で寝ずに朝日が昇るのを待ちました。
「すげえ体験したな」「なんかの儀式かね」と「アイヌの?おばけ?」「さあ・・」
ようやく周りが明るくなってきたときに、テントを出ると
「なんだあれ・・」と友人が気味悪そうにテントの前の地面を見ています。
雨は上がっていましたが、テントの前の地面には5mほどの円形に跡がついていました
なんて表現すればいいのか、複数人が連なって電車ごっこをした跡のような感じです。
私たちはテントを片つけるとすぐにこの広場を出ました。
「あれ、絶対になんかの儀式だよ」友人がそういうのですが、それが本当なら
私たちはきっと祭壇の場所にテントを張ってしまった事になります。
調べたりする気にもならず、それっきりですけど思い出すと確かにあれが「アイヌ語」
だったのでしょう。45年前の夏の記憶です。

























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