「ねぇ……後ろから来てるよね?」
真由の声は震えていた。
その時、美咲が突然立ち止まった。
「……ねぇ、なんで?」
「どうしたの?」千紗が問う。
美咲は震える指で、真由の足元を指さした。
「その……影……もうひとつある……」
真由は自分の影を見た。
確かに、地面には人影が二つ映っていた。
一つは自分。
もう一つは――背後にぴったり重なる誰かの影。
「いや……やだ……やだやだやだ……!!」
真由が走り出すと、影もゆっくり、まるで後ろからついてくるように揺れていた。
千紗と美咲も必死に走り出す。
—
◆帰還
息が切れるほど走ると、突然眩しい街灯の光が差し込んだ。
気づけば三人は元の地元駅の前に戻っていた。
影は――一つだけ。
真由は膝をついて泣き、千紗も美咲も放心状態だった。
「……帰って、これたの?」
「うん……たぶん……」
電車は普通に人が乗っており、スマホの電波も戻っている。
三人は安堵して、改札へ向かおうとした。
その時、
真由がふと、自分の影を見て凍りついた。
――影の足元に、“かすれた足跡”がひとつ増えている。
まるで“誰かの影”が、自分に混ざったみたいに。
—
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 6票























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。