俺がその話を聞いたのは、大学病院で臨床試験のバイトをしていた友人からだった。
プラセボ効果なんて、要するに思い込みだろ?
そう笑った俺に、あいつは妙に真顔で言った。
「いや、それがな。あれは“思い込み”じゃない。
あれは“引き金”なんだよ」
その病院では、新薬の二重盲検試験が行われていたらしい。
被験者にも医師にも、本物の薬か偽物かは知らされない。
だが結果は奇妙だった。
偽薬、つまりただの乳糖の錠剤を飲んだグループのうち、
三割以上に症状の改善が見られたという。
ここまでは教科書通りだ。
問題は、その後だった。
試験終了後、被験者にネタばらしをした。
あなたが飲んでいたのは偽物です、と。
すると数日後、改善していたはずの症状が
一斉にぶり返したという。
偶然だろ、と言いかけた俺に、
友人は小声で続けた。
「もっと妙なのはな。
偽物だと伝えられた瞬間、
心電図が変わったやつがいる」
ただの思い込みで、心拍が変わるか?
いや、変わるらしい。
だが問題はその変化の幅だった。
まるで本物の薬を急に中断したかのような、
明確な“離脱反応”。
そこから先は論文にもならず、
ひっそりとデータベースに封印されたという。
だが、海外の研究を調べると
似たような報告がいくつも見つかる。
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