――カタン
――カタン
何もいない線路から、一定の間隔で“足音”みたいな音が聞こえてくる。
「線路で歩く音って…こんな感じだよね…?」
美咲の言葉に、真由は耳をふさぐ。
けれど音はだんだん近づいてきて、
カタン…コツン…カタン……コツン……
まるで、四足じゃなく二足で歩いているみたいだった。
—
◆帰れる道
千紗がスマホを掲げて呟く。
「“きさらぎ駅から帰るには、神社と鳥居を探せ”…
ネットの噂ではそう言われてる」
三人は駅の外へ出る。
周囲は見渡す限りの暗い草原で、遠くに小さな鳥居がひとつだけ立っていた。
近づくと、鳥居の前には細い獣道のような道。
奥は闇で何も見えない。
「こわい…帰りたい…」
真由が泣きそうになると、千紗が肩を掴む。
「戻れないよ。行くしかない」
三人が鳥居をくぐった瞬間、背後で
――コツン
誰かが鳥居の柱を軽く叩いたような音がした。
振り返ると、何もいない。
……ただ、さっきより“雑草が高くなっていた”。
—
◆闇の中の“何か”
獣道を進むたびに、背後でカタン…コツン…と近づいてくる。
しかし振り向けば、やっぱり何もいない。
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