「こういうことって、よくあるんですか」
その問いかけにじいさんはニンマリ笑って答える。
「少年、この世は尋常じゃ説明しきれんもので溢れているんよ」
それを理解しておきながら俺への説明を怠ったこと、決して忘れないでいただきたい。そうこうするうちに、俺たちは店から数分歩いたところにあるゴミ捨て場に辿り着いた。意外にもこの老人、ここら辺の地主らしく、姫野にいくつも土地や不動産を持っている。骨董屋はただの道楽に過ぎない。
「ここ数ヶ月は廃品の回収には来てないわ。熊手もそこら辺にあるじゃろ」
ミコと一緒に、熊手を探す。と言っても捨てに来たのは俺なので凡そ見当はつく。
「あ、あったあった」
俺が熊手を拾い上げようとしたその時だった。
バチンッ!
目の前を青白い稲妻のようなものが駆け走った。その勢いに吹き飛ばされるようにして俺は背中から倒れ込んだ。
「な、なんだ?」
ミコがこちらを呆れた顔で見ている。
「こりゃ相当嫌われているわね」
何がおかしいのか。新井のじいさんは口を大きく開けて、仰ぐようにして笑っている。
「さっきの護符がなかったらほんと死んでてもおかしくない・・・ヨッと」
ミコに腕を引っ張られて起き上がり、熊手の前までやってきた。
「いい? ちゃんと手を合わせて、謝るの。あとお礼ね」
ほら、新井のおじいさんもとミコが促した。俺とミコ、そして新井のじいさんと三人で熊手の前で手を合わせる。
(勝手に捨ててしまってごめんなさい。今まであの店を守ってくれてありがとう)























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