秋休みになるとよく、祖父の家に泊まりに行っていた。
田舎の山深い場所にある家で、父は何度か一緒に暮らさないかと
提案していたが、決まって祖父は『生まれ育った場所だから』と
断り未だに一人で暮らしている。
そんな祖父に連れられ山の中を散策するのが
子供の頃の楽しみだった。
都心に住んでいた自分としては山の自然や祖父の聞かせてくれる話が
珍しく興味をそそられた。
その日も、祖父と昼間の山中を歩いていた。
ふと竹林に差し掛かった時に祖父は不思議な話をしてくれた。
「あの竹林は俺の曾祖父さんの代からある場所でな、
商売のためや食事のために何度か切らせてもらった。
そん時に決まり事があってな、少し奥に進むと
一箇所だけ開けた場所があってな、そこに生えてる竹の子は
絶対にとってはならんと。」
祖父は少しこわばった表情で話を続けた。
「もしもその竹の子をとってしまうと、山の怒りをかうってな。
実際に俺の親父の弟がイタズラごころでその竹の子に触れた。
するとみるみるうちに体調を崩し、寝たきりになった。
医者に見せても原因は不明でな、親父が問い詰めると
あの竹林に行ったのがわかって、すぐさま親父と祖父が
家に置いていた藁で編んだ人型と井戸の水を持って竹林に向かった。
竹林に入り竹の子ある場所に出ると、藁で編んだ人型を地面に置き
井戸の水を上からかけながら『御竹様 御竹様 代わりにこちらをお納め下さい』と
なんどもなんども唱えては頭を下げたんだと。
そんで翌朝、親父の弟が何もなかったように起き上がり
朝飯を食べていたんだと。親父と祖父は昨日の儀式の甲斐があったと
喜びつつ、弟に二度と竹林には近づくなと釘をさした。」

























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