これは俺が2ヶ月前に体験した話だ。
その日の俺はいつものように大学での授業を終えて家に帰っていた、その時だった。
ある一軒家の玄関あたりにダンボール箱が置かれており、気になって目を凝らして見てみると中にはいろんなものがあり側面にはご自由にお取りにくださいという紙が貼ってあった。
それを見た俺は何か面白いものはないかと思い近づいて中を注意深く漁っていると一つのdvdを見つけた。
そのdvdは卒業制作という文字が書かれているだけのシンプルなもので、それを見た俺は何でこんな大事そうなものをこんな箱に入れたのか気になりリュックの中に入れて持って帰ることにした。
そして俺は家に帰って手を洗ってすぐにパソコンと接続できるdvdプレイヤーを使い、そのビデオを再生した。
「ドロドロ戦隊!粘土くん!」
そんな気の抜けた声と少しデフォルメした埴輪のようなデザインの粘土くんというキャラクターを見て俺は思わず笑みを浮かべていた。
そして始まって数分、この作品がストップモーションという手間のかかる特殊な方法で作られていることと話の完成度が高いこともあり気づけば俺は完全に見入ってしまっていた。
そうしていると、一瞬明らかに違う画像が差し掛かる。
それに気づいた俺は何の画像が差し込まれてたのか気になり映像の時間を戻して画像が差し込まれる瞬間で止める。
その画像は粘土くんのような物が何個もある部屋の中にポツンとボロボロの黒髪で長髪の手足が異常に長い痩せ細った女性がいるという不気味で意味不明なものであった。
そんなものを見て頭にハテナ文字が浮かんで硬直していると、ひとりでに映像が再生され、
「ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう」
そんな事を真っ暗な空間で言う粘土くんが映し出される。
そして、不意に粘土くんの口の下辺りから横に切れ目ができ、どんどんとその切れ目は深くなっていき、とうとう粘土くんは完全に切断され中にあったものが見える。
それは無数の髪の束であった。
瞬間、何故か映像は強制的に終了しpcの電源が切れる。
、、、
映像を見終わった後、しばらく俺は口を動かすことすらできなかった。
だって、電源が切れたpcの画面には俺と粘土が紙にくっついたあの女が映っていたのと、
その女が俺の耳元で
離さない 離さない 離さない ありがとう
ありがとう
と言ったからである。


























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