——これは、私が実際に体験した話だ。
________________________________________
私は大学を出たばかりで、地元に残っていた友達4人とよくつるんでいた。
俺、亮、健、そして麻美。
いつも同じように過ごしてマンネリ化していた俺たちは、健の提案により
肝試し半分で、ネットの掲示板に書かれていた郊外の廃病院に行くことになった。
そうと決まればと、早速明日向かう事にした。
次の日―山道を抜けた先、木々に飲み込まれるように建つその廃墟は、昼間だというのに異様に暗かった。
風もないのに、割れた窓からカーテンの残骸が、誰かが中で歩いているみたいに揺れていた。
「やっぱ帰ろうぜ」
雰囲気にのみ込まれた亮がそう言った時、健が笑って言った。
「ビビりすぎ。写真撮って帰るだけだろ」
「とりあえず入る前に一枚撮ろうぜ」
健がそう言ったのでいやいやながらもみんなで病院を背景に撮った。
そんな軽い気持ちでみんな向かっていた。
中に入った瞬間、空気が変わった。
湿った匂い。古い薬品の甘苦さ。
床に散らばるカルテは、誰かがさっきまで触っていたように温かく感じた。
二階に上がった時だった。
後ろを歩いていたはずの亮が、いない。
「亮?」
皆で呼んだが返事はなかった。
ただ、奥の診察室から“コツ、コツ”と足音だけが聞こえた。
亮が居るのかと思い、健が走って診察室に向かった。
健が中を覗いた瞬間、顔色が変わった。
「……いない。でも……」
急いで向かった俺たちは驚愕した。
壁一面に貼られた古い写真。
そこに、俺たち4人が写っていた。
もちろん撮った覚えもないし、何より生まれる前に廃病院になっている。
しかも——亮だけが、写真の中でこちらを向いていなかった。
みんな恐怖し、走って病院をでた。
そんな恐怖も抱えながらも亮が心配になり
もしかしたら怖くなって先に外に出たのかもしれないと必死に声を掛けて探した。
だが見つからなかった。
警察にも届けた。
だが、彼は行方不明のままだった。
________________________________________
それから数日後、L〇NEグループに健から写真が送信されてきた。
あの日病院の前で撮った写真だ。
俺は4人で撮った最後の写真になるかもしれないと思いすぐに保存した。
そのあとすぐに麻美が返信した。
「ねえ……これおかしく無い??」
スマホに保存した写真を見返した時恐怖した。
一枚目、俺と健と麻美の「3人」。
二枚目、同じく3人の写真だが、背後の窓に“誰か”が立っている。
三枚目——健が正面に顔を向けていなかった。
そんなはずがない。
あの時確かに俺たち4人で撮ったし、みんな正面を向いていた。
俺は怖くなって写真をすぐに消した。
そして事件は翌朝、健は自宅で原因不明の心不全で死んで見つかった。
偶然だと思いたかった。
だが、その次の週、麻美が交通事故で亡くなった。
彼女が最後に撮った自撮り写真には、後ろに、亮と健が立っていた。
これが単なる偶然には出来過ぎている。
そんな風に思い、俺は恐怖に打ち砕かれそうになった。
________________________________________
麻美が死んでから3日たった今日。
俺が仕事から帰宅していると、突如4人のL〇NEグループから通知が来た。
まさか亮か!
そんな淡い希望を抱きながらすぐに開いた。
だがその希望はすぐに絶望へと変わった。
3人から1枚ずつ、計3枚の写真が送られてきた。
1枚目、亮から送られた病院で4人で撮った写真。
俺だけが正面を向いていて、他の3人が俺を見ている。
2枚目、健が送ってきたのは、1年ほど前に健の自宅で4人で宅飲みをしたときの写真。
だが、先ほどの様に俺だけがカメラを向いていて、他の3人は俺を見ている。
3枚目、麻美から送られてきたのは、あの廃病院の写真だった。
そこには、俺ひとりだけが写っている。
……いや、違う。
よく見ると、
病因の中に3人がいる。それも位置的にあの診察室だ。
そう怖がっていたのもつかの間。
コツ、コツ、コツ……。
なにかが迫ってきている。
それも一人じゃなく複数人
背後で、足音が止まらない。
コツ、コツ、コツ……。
気になるが振り向けなかった。
いや、振り向かなくても何がいるか分かっているから振り向きたくないの方が正しかった。

























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。