すると、
─ピピピピ!ピピピピ!……
携帯の呼び出し音が鳴ります。
コートのポケットから取り出して画面を見ると、それは父からでした。
気持ちが高ぶっていた私が、
「もう、いったい何してんの?
私、もう来てるよ!」と怒鳴ると、父とは違う男の声が聞こえます。
「あ、すみません。武田正人さんのお身内の方ですか?」
「は……はい、そうですけど」
ただならぬ気配に、私の体は固くなりました。
「突然すみません。
私、F警察の者なんですが、実は3時過ぎころなんですが、武田さんの乗った車がF市S町二丁目の交差点で右折中に、大型トラックと正面衝突しまして、近くの病院に搬送されましたが、頭部をかなり強くぶつけられたようで、あの……三十分ほど前に、お亡くなりになりました」
一瞬目の前の光景が歪みだし、軽いめまいを感じた。
無意識に、母の手を握りしめる。
「……」
「もしもし!もしもし!大丈夫ですか?ショックかと思いますが、もしよろしければ、ご遺体の確認にお越しいただけませんでしょうか?」
私は軽く深呼吸をし、
「分かりました。どこに行ったらいいのでしょうか?」と、言った。
この話は怖かったですか?
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