ある日、俺は仕事を終えた後、タクシーで家まで帰ることにした。
タクシーに乗り、行き先を伝え、運転が始まる。
それから数分後、運転手はルームミラー越しに目を合わせながら俺に話しかけてきた。
運転手「ここ辺りで大変なことあったんですよ。」
俺「それって?」
運転手「闇バイトですよ、それで、どっかの高級ブランドのもの売ってる店に複数人で行って色々盗んで、その後逃げたんです。」
俺「そいつらは?」
運転手「もちろん捕まりましたよ、ただ最近は怖い世の中になりましたよね。甘い話とかで馬鹿を誘ったりとかして、人をより騙したりできるようになってきて。」
俺「、、、そうですね。」
運転手「そういうことしちゃ駄目ですからねー」
俺「いやw見てわかるように仕事してますからwそんなことわざわざしようと思いませんよw」
運転手「冗談ですよwでも、それ以外にも、人を騙すってことは他にも、何個でもあるので気を付けてください。」
そんな感じで、しばらく会話を楽しんでいたが、仕事の疲れが溜まっていた俺は眠りについた。
どのくらい経ったのだろう、ふと、目を覚ます、夜の暗さがぼやけた視界と相まって、より見えづらくなっていた。
目を擦り、少し瞬きをしてようやくまともに見えるようになった。
そして、なんとなく外を見た俺は一瞬思考が止まる。
今、俺の目線の先にあるもの、目の前にあるもの、それは
男の首吊り死体だった。
息を切らすして、冷や汗が止まらなくなる、今起こっていることの意味のわからなさに頭が狂いそうになる。
しかし、そんな俺は再度首吊り死体とその周りを見て一つのことに気づく。
ここは、樹海だ。
それに、俺の家の近くに樹海なんてない。
つまり、俺は、全く知らないような遠くの樹海に送らされたんだ。
「だから言ったのに、他にも騙すってことは何個もあるって。」
その声を聞き、恐怖でさらに息が荒くなる。
運転手は、ゆっくりと俺に顔を向ける。
そして、俺と目を合わして、笑顔を見せる。
その笑顔は、底なしの気持ち悪さがあった。























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