これは田舎町に住んでる俺が10年前に体験した話だ。
その頃の俺は大学生でコンビニで万引きをよくしていた。
きっかけは友達との悪ふざけだった、そこから更に自分一人でもやるようになり、こんなリスキーなことを何回もできる自分に陶酔していた。
ただ、俺は万引きをバレずに行うことが好きだっただけで、別に万引きした商品に興味はなかったからいつも帰り道の途中でポイ捨てしていた。
そんなことを続けていた中、ある日の冬に俺はまたコンビニで菓子パンを万引きしていた。
そしたら、近づいてきたんだ、いかにもホームレスみたいな全身が汚らしいおっさんが、それで、そいつが俺に爪の中がゴミが溜まり黒ずんだ茶色になっている指を指して
「万引きしているよな?知ってるぞ?捕まりたくないよな?俺についてきてくれればバラさねえぞ」
と笑ってはいるが目が死んでいるように冷たく全く笑ってないような状態で、小さい声で言ってきた。
流石にこんなことをやってる俺でも今までやってきたことがバレたらただでは済まないことは分かっていたから、ビビりながら言われたことを飲み込み、汚ねえおっさんの背に俺はついて行った。
そしたらおっさんはちっせえボロボロの木造の小屋の前で足を止めて、その小屋の錠も鍵穴もないようなドアを開けて、
「入れ。」
とニコニコの表情でその不気味な場所に俺が入るように言ってきた。
言われるがままに俺はそこに入ると、その中には天井にある照明の電球には虫がたかるわ、酷い異臭もするわ、気味の悪いかろうじて使えるレベルでボロい椅子と机があるわで最悪という言葉が相応しい場所だった。
こんな所すぐ抜け出したいなんて鼻をつまみながらなんとなく突っ立っているのもなんだかなぁと思い、しょうがなく椅子に座ると、おっさんも入ってきて俺の視線の先にある椅子に腰をかけた。
警察ドラマの取り調べみたいだなと呑気なことを思っていると、おっさんが俺に対してあの時と同じように冷たく恐ろしい目を向けながら笑みを見せ、喋り始めた。
「実はな、俺、お前が何回も万引きしているのを知っているんだよ、なんなら最初にした万引きから今日までの万引きを記録してるんだぜ。」
その言葉に対して、マジかよと動揺して冷や汗が出てくる。だが、そんなことをお構いなしにおっさんは話しを続ける。
「ただな、俺はあんたに世話になっているんだよ」
何を言ってるかわからず戸惑っていると、おっさんはさらに笑みを見せた後俺にこう言ってきた
「シてるんだよ、お前の調子に乗って愚かな行動に出ていたことを思い出して俺は。」
一瞬理解できなかったが、すぐにそれを理解した途端に、目の前にいるおっさんがより気持ち悪く感じる。
そして、そんなことを俺が感じているのがわかったのか、おっさんはさっきより笑うような声で
「まあ、だから、お前のおかげで俺の人生満たせなかったものが満たせたから感謝しているんだ、だから別に最初から警察に通報する気なんてサラサラなかったんだ。ただお前にちょっとした罰を受けて貰おうと思ってただけだよ。」
ちょっとした罰ってなんだよと思いつつ、俺は警察に通報する気はないという言葉に心底安心した。
そしたら、おっさんは小屋の中の隅にあったカバンを机に乗せてきた、それで分かったんだ、異臭の正体はこのカバンからしてたものだということが。
おっさんはその鞄のファスナーをゆっくりと開けて、その中に入っていたものを取り出して机に置く。
それが目に入った途端に俺は絶句した。
それは、俺が盗んだ後捨てたであろう菓子全てを丸めたような塊で、その塊の中を無数の芋虫たちが這っていた。
そんなものを見せたおっさんは目だけでなく表情も死んだように不気味な顔になり、冷徹さを感じる声で俺に向かって言葉を放つ。
「食えよ、コレ。お前がやった罪、全て飲み込めよ。なあ。」
























緊迫感と臨場感が素晴らしいです。無駄がなくて、読みやすいです。ところで、警察め、不審者ぐらいきちんと捕まえろ。