奇々怪々 お知らせ

不思議体験

にゃんこさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

地下の丸穴
長編 2025/07/15 08:38 6,605view

王冠のようなものをかぶった老人が顔だけ覗かせこちらを見ていました。
満面の笑みでした。おじいさんかおばあさんかは分かりませんでしたが、
長い白髪に王冠をかぶった、しわくちゃの老人が満面の笑みで私を見ていました。

それは見た事もない悪意に満ちた笑顔で、私は一目見て
「これはまともな人間ではない」と思いました。
話が通じる相手ではないと思ったのです。その老人の無機質な笑顔に一瞬でも
見られたくないと思い、
「はうひゃっ!」と情けない悲鳴が喉の奥から勝手に出てきて、
私もまたBと同じようにフラフープ状の輪に飛びこみました。

目を開くと病室にいました。頭がボーッとしていました。

腕には注射針が刺さり、私は仰向けに寝ていました。

上半身を起きあがらせるのに3分近くかかりました。
窓を見ると綺麗な夕焼けでした。

部屋には人はおらず、個室の病室でした。
何も考えられずただボーッとしていました。
どのくらいの時間ボーッとしていたか分かりません。しばらくすると、
ガチャとドアが開き看護婦さんが現れました。看護婦さんは、
かなり驚いた表情で目を見開くと、そのままどこかに駆け出しました。

私はそれでもボーッとしていました。その後は担当医や他の医師たち数人が来て、
私に何かを話しかけているようでしたが、

私はボーッとしたままだったらしいです。その後時間が経ち意識もだんだんと
鮮明になってきました。

医師からは「さっき○○君の家族呼んだからね。
○○君は長い時間寝ていたんだよ。でも心配しなくていい。
もう大丈夫だよ」と意味不明な事を言われました。

起きてからも時間の感覚がよく分からなかったのですが、
やがて母らしき人と若い女の子が泣きながら病室に入ってきました。

それは母ではありませんでした。それに私の名前は○○でもありません。
母を名乗る女性は「よかった…よかった」と泣いて喜んでいました。
若い女の子は私に「お兄ちゃん、おかえり…」と
言いながら泣き崩れてしまいました。しかし私に妹はいません。
3つ離れた大学生の兄ならいましたが、妹などいません。

7/12
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。