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ヒトコワ

にゃんこさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

好きだった叔父さん
短編 2025/07/14 19:56 2,789view
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叔父さんに殺されかけた時の話。
小学生の頃、家に叔父さんが居候してた。
叔父さんは工場の仕事をクビになり、家賃も払えなくなってアパートを追い出され、
やることもなく、毎日俺んちでゴロゴロしていた。

収入もなく、毎日安酒を飲んで寝てるだけの叔父さんだったけど、
甥っ子の俺のことは可愛がってくれ、時々アイス買ってくれたり
釣りやクワガタ採りに連れてってくれたりして俺はこの叔父さんのことを好きだった。

叔父さんが居候しだして半年が過ぎた頃、
ある土曜日の雨の深夜、親父と伯父さんが階下で言い争いをしてる声が聞こえた。
かなり激しい怒鳴りあいだったので、聞いてたラジオを消し息を殺して聞いていると

バタンとドアが閉まる音がして叔父さんがドカドカと階段を上がってきた。

げっ、俺の部屋にくんの?とビビってると隣の仏間の障子がピシャっと閉まる音がした。
俺はそっと布団に潜り込み暫くドキドキしてたがいつの間にか寝入ってしまった。

翌日の日曜、俺の両親は店へ行き、家には俺と叔父さんの2人きりになった。
俺は昨日のことは知らないふりで、日曜の昼のテレビを見ながら母ちゃんが
用意してくれてた唐揚げで昼飯を食っていた。

叔父さんが、仏間から出てくる音がして、階段を下りる音が続いた。
俺はちょっと緊張しながら「おじさん、おはよ~」と言うと叔父さんも
「おう、なんや、美味そうやな」と一緒にご飯を食べだした。
「ツトム(仮名)、飯食ったら釣り行くか?」と誘われたので

俺も子供心に叔父さんを慰めてやろうと「うん」と同意した。

釣竿を2本持ち、仕掛けの詰まった箱をバケツに入れて、俺と叔父さんはいつも
釣りに行く近所の滝つぼへ向かった。

滝つぼは前日の雨で水位が増し、コーヒー牛乳色の濁流が厚い渦を巻いていた。
「あんまり連れそうやないね」と俺が言うと叔父さんも
「どうやろか、ちょっとやってみようか」と応えた。
「こう言う時の方が帰って釣れるもんやけん。ウナギとか釣れるとぞ」
と言い、叔父さんは滝壺の方まで進んだ。
俺はこんな奥やら行かんでいいのにな~と思いながらも、言葉すくなにに早足で
進む叔父さんの後をついて行った。

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