当初、『凶事の予感、それでも』は前編と後編とに分けたのですが、かえって読みにくくなってしまったので、『凶事の予感、それでも(加筆修正版)』として統一しました。
【凶事の予感、それでも(後編)】を残したままにしていたのは、削除の仕方が分からなかったからです。(問い合わせフォームから何度か削除の仕方を尋ねたのですが、なぜかうまく届いていないようで、すぐに文字化けした返信がありました。)
機械オンチで、誠に申し訳ありません。
このような『凶事の予感、それでも(後編)』を読んでいただいた584人の皆様、本当にありがとうございました。皆様のご厚意にお応えする為にも、『凶事の予感、それでも(後編)』を抜本的に加筆修正し、『凶事の予感、それでも(後日談)』としました。
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母方の祖父のお通夜は、身罷った次の日の夜に執り行われた。家に帰った後、私は一人部屋で忍び泣いた。私の親をこの世に生み出した祖父は、明くる日の夜に荼毘に付される。つまり、本当にこの世からいなくなってしまうのだ。
「(私の)兄弟と私は外孫なので告別式に出席しなくてもいい」
と、母は私達に告げた。しかし、出来ることなら、私だって明日も祖父に会いたかった。祖父の旅立ちを見届けたかった……!
どうして、告別式の日に難しい商談が入っているのだ。確かに私はこの業界で長く働き、会社のシステムにも慣れている。私が担当者として一番うってつけと評価されているのは、とても光栄なことだ。新規のお客様を獲得する貴重なチャンスであるのだが、何でこの日なのだ!
【私が祖父の孫の中で唯一、臨終の床に呼んでもらえたのに、ナ ン デ シ キ ニ デ ラ レ ナ イ ン ダッ!】
悲しみが癒えぬまま、私は寝室に行った。寝室の隣の部屋は、母の休憩部屋である。当然、なかなか寝付けない。そのうち、台所の方からガチャリッと分厚い皿が傾くような音や、ピュチョーン、ピュチョーン……と水滴が落ちるような音が聞こえてきた。ラップ音は私の実家ではよくあることだが、その日の晩はいやに長く続いた。
そしたら、わたしの布団から少し離れた場所の床がギュイッシィッと大きな音を立てた。もう床が重さのあまり壊れるのではないかと思えるほど、大きな音である。体重が60kgを軽く超える父がその場所を歩いても、そのような音はしない。
翌朝、同じ部屋の別の布団で寝ていた母に、その重々しく鈍い音が聞こえたかと尋ねた。母もなかなか寝付けなかったらしいが、なにも音など聞こえなかったと言われた。
もしかすると、母方の祖父が旅立ちの前に母に会いに来てくれたのかもしれないと、私は思った。祖父はスマートで眉目秀麗な人だったが、大正生まれにしては珍しく、身長が175cmを超えていた。この世に生きる者の都合のいい考えかもしれないが、私はそう信じている。





















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