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心霊

沈丁花さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

墓場で待つもの達(第二章) ※加筆修正版
短編 2025/08/19 22:55 1,307view

 

 ※自己責任系、閲覧・朗読注意

 

 前作の『墓場で待つもの達』で、母方の先祖の墓地で数体の霊に出くわした体験をお話ししましたが、その後のできごとも作品にしました。特に、最後の段落のお話は私も執筆中に気分が悪くなったので、体調がすぐれない方はこの話を読んだり、朗読したりしないことをお勧めします。

それ以来、母方の先祖の墓参りに行くと、ほぼ毎回、【髪も肌も衣服の色も空気に溶け込んで、全身が褪せた白色に見えるひと達】に遭遇するようになった。霊達は墓地へと通じる急な上り坂を歩いていたり、ご自分の墓標の近くにいたりする。生前に愛用していたものなのか、かれ等はいつもごく一般的な洋服を着ている。パリッとしたスーツや艶やかなドレスを身に着けている霊は、今のところ◇◇(母の実家がある在所)では見ていない。そこでは農家が多いためだろうか。

 母方の祖父の三回忌が執り行われた翌年のお盆も、墓参りをした。そしたら、戦没者の為の大きな墓碑の近くで突然に【国民服の男性】に話しかけられ、仰天した。彼は大胆にも、
『あんた、どこの家の子や。◇◇(母の実家がある在所)の人か?』

と、訊いてきたのだ。
 私は恐ろしさのあまり、背筋に冷たいものが走るのを感じた。そうしてバカな私はつい、
「□□□□(母方の祖父)」の外孫ですわ」
と、答えてしまった。

 幸いその【国民服の男性】は祖父の知り合いではなかった。彼は『□□□□さん?はて、知らんな』と答え、すぐに私から離れていった。もし彼が祖父の知り合いだったならば、私はどうなっていただろう・・・・・・。

 霊に話しかけられても、なるべく受け答えをしない方がいいと思う。霊に関心や親近感を持たれ、霊障を受けた結果、悲運に見舞われるのは「お約束」かもしれない。

 補足をすると、母方の先祖の墓地の出入り口の斜め向かいには、小さな滝がある。滝といっても、上方から湧水がチョロチョロと穏やかな音を立てながら、緩やかに流れ落ちてくる程度のものだ。当然、流れ水を受け止めるための深い溜め池が作られている。その溜め池は周囲を常緑樹で覆われているので、昼間でも薄暗く、なんとなく近寄りたくないと思う。また、その溜め池の水にもなぜか触りたくないのだ。

 その滝も溜め池も温泉ではない。しかし、晴天の明るい時間帯でも、その周りにはいつも【湯気のような白いもの】が見えるのだ。フワ、フワァ~ッと四方八方に漂い、モワ、モワァ~ッと上方へ立ち昇るその【もや】は儚くはないけれど、力強くもない。多分、この溜め池は【霊的な存在】の集会所になっているのだろう。

 

 ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 このごろは、小さい頃からよくお参りをしている父方の先祖の墓地でも、霊を感じるようになった。

 今年の5月にも、【とんでもないもの】を目撃してしまった。その日は濃い灰色の雲が空一面に広がり、雨粒が時折振ってくるようなぐずついた天気だった。実家で墓参りの準備をしている時に、私は何かイヤ~な予感がしていた。こういった雨降りの薄暗い日は、もしかしたら昼間でも霊が出るかもしれないと思ったのだ。それでも、
(この年になって、幽霊に遭うのがこわいから墓参りができないなんて言えるかよ)
と思い、私は一人で墓参りに行った。翌日ではどうしても墓参の時間が取れない。明日は電車とバスを乗り継いで、2時間強かかる自宅に帰らなければいけないのだ。

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コメント(3)
  • 沈丁花です。やや説明不足の箇所がありましたので、一部加筆・修正をしました。

    2025/08/20/10:22
  • 沈丁花です。この作品を作った際に見出し画像を大変迷ったのですが、「お日さまが濃い灰色の雲に覆われていく画像」の方が最終段落の内容にマッチしていると感じましたので、変更させていただきました。また、より読みやすい文章にする為に、段落の隙間を大きくし、一部の文を修正しました。これまでこの作品を読んでいただいた416名の皆様、大変失礼いたしました。

    2025/08/21/21:20
  • 沈丁花です。もう一度加筆修正をしました。

    2025/10/01/11:50

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