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不思議体験

アイスノ人さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

足音
長編 2025/05/01 13:00 6,470view

「お前はどうなんだ?好きだから、あいつと不倫したんじゃないのか?」

 彼女は強く首を横に振った。

「違う!それだけは本当に違うの……あの時は苦しくて、どこでもいいからに逃げたくて、ただそれだけだった。だから……本当に好きじゃなかった、それに貴方への想いもあるから、断ったの」

 再び同じ言葉を聞いたが、もはや私の心には何も響かなかった。

 義理両親からは時折、Iの近況が報告されていた。離婚後は遊び歩くこともなく、毎日パートに追われ、間男の元妻に対して慰謝料を返済し続けているとのこと。

 ある意味では、彼女は反省しているのかもしれない。

「どうして……」

 Iが突然声を上げた。

「どうしてあのとき、あなたが私のスマホを持っていたの?」

 私は少し考え込んだ。そうだった。あの日、気が付いた時には、スマホはソファーに置かれていた。

「あの頃、不倫していた罪悪感から、スマホを見るのが怖くなって……使わない時は、化粧台の鍵付きの引き出しにしまっていたのに」

 彼女の問いかけに、私は静かに答えた。

「あいつが持ってきてくれたんだよ」

「え?」

「小さな足音が聞こえたんだ。気がついたら、スマホが隣にあった」

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