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不思議体験

solsolさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

家族写真
短編 2025/04/22 18:02 1,171view
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 大学生のk君は同じサークルの先輩と、夏休みに肝試しがてら、ある廃村に行ったそうです。
 先輩が紹介してくれた廃村の住所を車のナビに入れ、k君の運転で廃村に向かっていきました。先輩曰く廃村に関しては情報が極端に少なく、かつて村人達が集団自殺をした事ぐらいしか分からないそうです。先輩がSNSサイトにて廃村を紹介してくれる人を探していたら、何者かいち早く紹介してくれたのがその廃村だそうです。
 時刻は1時頃いざ到着して2人で探索するも、特に何も起こらなかったため引き返すことにしました。車の中で残念そうにする先輩とは裏腹にk君は満足感に満たされていました。k君のカバンには廃村から持ち帰った1枚の写真が入っていました。
 廃村から車で40分ほど走ったところにファミレスがあり、そこでひと休みすることにして店内で他愛も無い世間話をしました。今日訪れた廃村の話になった時、k君は自慢げにカバンから写真を取り出しました。その写真はある一家の家族写真で、祖父母、父母、そして姉弟の6人が写っていました。その写真を先輩に見せた途端、先輩は顔色を変えてk君の方を見たと思ったらk君の肩越しに見える席へと視線を移し「うわぁぁぁ」と先輩はひどく驚いた様子で店を飛び出して行ってしまいました。k君が急いでコーヒ2杯分の会計を済まして先輩を追いかけると、先輩は「何でいるんだよ」と慌てふためいていました。
 
 先輩曰く、店に入ったら1つの席に6人の家族、遅い時間におかしいなと思っていたと。「祖父母、父母、姉弟」、k君が出した写真の中にいた6人家族がそこにいたそうです。k君が写真を出した時、6人が一斉に自分たちの方を無表情で見つめてきたと言います。

 2人で相談しその写真を廃村へ戻しに行くことにして、ナビに廃村の住所を入れなおして、また40分ほど車を走らせました。40分以上走っているはずなのに廃村に到着しません。ナビを見てみると途中から案内が止まっており気づくと一歩道をずっと走っていました。田んぼと田んぼの間のあぜ道を走っているようで20分30分と走り続けているはずなのに永遠と1本道のあぜ道から出ることはありません。道は細いため引き返すこともできず恐怖が募っていきました。
 1時間ほど走っていたでしょう。道の端に突如ヘッドライトの明かりで6人の顔が浮かび上がりました。あの写真の、あの時ファミレスにいた6人家族でした。ハンドルを握っていたk君は恐怖で凍りつきました。通り過ぎたと思ったらまた目の前に6人が現れて通り過ぎたと思ったら6人現れる。恐怖で前を見ることもままならなかったそうですが、止まってしまったらまずいと思って、事故を起こしてしまったらまずいと思って必死にハンドルを握り必死に走り続けたそうです。
 気づけば空が紫色に染まっており、気づけばあの6人も出て来ていませんでした。ふと周りを見ると、廃村へと続く道に変わっていたそうです。時計を見ると時刻は午前5時半を指していました。ナビも元に戻り、何事もなく廃村へ道案内を始めました。その後k君と先輩は廃村に写真を戻し「すみません」と声に出して謝ってからその廃村を抜け出しました。そして2人とも無事に帰宅出来たそうです。

 その後先輩がSNSサイトで廃村を紹介してくれた人と連絡を取ろうとしたら、紹介してくれた人のアカウントは跡形もなく消えていたそうです。k君がナビに記録された廃村の住所をスマホの地図アプリに打ち込み検索すると、そこに田んぼのあぜ道どころか廃村などはなく閑静な住宅街が広がっていたそうです。あの廃村、何だったのでしょうね。

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