俺が恐怖のあまり固まって立ち尽くしてると
その何者かはお札のような者でぐるぐる巻きになった頭を近づけ
こちらの様子を伺っているようだった。
必死で息を整え目の前のそれを見続けると、それはどうやら
白装束のようだった。
手足もある上に長く乱れた髪まで生えている。
少し動けるよになり一歩ずつ後ずさりするも
襲ってくる気配はなく、ただ俺のことを見ているようだった。
俺は目の前のそれが思ったほど危険ではないと判断して
そっと戸を閉めようとした。
しかし、戸に手をかけた瞬間白装束のそれは
俺の腕を掴みそのまま小屋に入ってきた。
先ほどは違い目の前のそれからは異様な匂いと殺気が感じられた。
じっとしている俺を両手で掴むと、ゆっくりと持ち上げ床に寝かせる。
そこからは恐怖とあまりの異様さで気を失っ他らしく
その先の記憶がぼんやりとしている。
目をさますと昨日泊まった離れの小屋の中で、室内には
特に異変もなく昨晩感じた異様な匂いも感じず
あたりはうすっらと日が差していた。
荷物をまとめていると戸が叩かれ、出ると家主の男性だった。
昨日は遅くまで付き合わせて悪かったなと謝りながらも、
朝飯できてるから身支度が済んだら来るようにとのことだった。
家主とテーブルを囲み朝食を食べつつ、
ふと昨日のことを思い出しながら部屋の中を見渡す。
家主から『なにか気になるかい?』と聞かれ
昨日のことを少し話した。
するとそれまでにこやかだった家主はすっと無表情になり
『長らく男日照りだったからな…悪いがもう一晩泊まってけ』
と言われた。俺は家主の異様な雰囲気に断れず、
その日も離れに泊まった。

























思った以上に怖くないです