アクロバティックサラサラの都市伝説を知ったのは、この体験の後だった。そのため、私が出会った女性がアクロバティックサラサラだったのかは分からない。実際に、その話を知るまでは幽霊だとは到底思えなかったのだから。
私がこの女性と出会ったのは、3年前のゴールデンウィークだ。当時高校生の私は家族と京都にゴールデンウィークを利用して旅行に来ていた。
その日は、宿泊場所から電車を利用して清水寺に観光に行く予定だった。早朝、駅まで徒歩で行ったのだが、私は歩くのが速いので家族の大分先を歩いていたようだった。
そにため、兄に「お~い、どこ行くのw」とからかいぎみに言われた。私は何気なく振り返った。
すると、赤いコートを着た黒髪の長い女性が後ろを歩いていたらしく、急に止まった私とぶつかりそうになる。私は反射的に避けたが、その後ろ姿は赤いハイヒールと元の身長の高さもあってか、モデルのように綺麗で思わず見とれてた。
しばらく立ち止まっていると、家族が追いついたらしく私は我に返り、再び歩を進めた。
その後、電車に乗り席を確保でき窓からホームを見ていた。すると、そこには先程の女性がいて丁度私の真正面の位置にいた。しかし、不思議と怖さはなくて、ただ髪が綺麗で羨ましいな、赤い服が似合っていて素敵だなーと思っていた。
そして、その夜不思議な夢を見た。
女性がマンションの一室のドアの前に居て泣きながら何かを訴えている場面から始まる。ドアには引っ掻いた後があり痛々しいと感じた。
ふと場面が変わり、赤い服を着た私が朝に見た女性がそのマンションの前に今度は立っていた。その女性は手に包丁を持っていて、なにか悲しげな様子にも感じた。
その後、ドアが開いて、若い男性が出てきてその女性はその男性をナイフで滅多○しにした。その様子に異変を感じたのが、次にショートカットの女性が驚いた様子で出てきて、赤い女性に首を締め上げられ○された。
私が、浮気をしていた男なのかザマー見ろ!とか考えていると、ふと目の前に赤い女性が出てきて、「あなたも○そうと思ってたけど、やっぱりやめた」的なことを言って消えた。
当時、私は確かに色恋に問題があった。というか、昔から不審者に追いかけられたり、痴漢に遇うことが多い体質で、当時もストーカーもいたし、学校ではわりとモテたり嫉妬されたり、何らかの恨みを持たれていたのだと思う。きっと、彼女と出会ったのもそういうことが原因なのだろう。
彼女は絶対アクロバティックサラサラだ。その理由は彼女に対して違和感があったからだ。
まず、彼女は足音がなかった。ハイヒールなのに全く足音がなかった。
第二に、彼女はゴールデンウィークで暑かったと思うのだが真っ赤な冬物のコートを着ていた。
第三に、私とぶつかりそうになったこと。彼女は私にぶつかりそうになったときも歩くスピードを変えなかった。捉え方では、ぶつかろうとしていたと思える。
第四に、電車で私の方が大分後にホームに着いたのに、彼女はまだホームにいたこと。
第五に、偶然かもしれないが、私の真正面の位置に立っていたこと。私は当時見惚れていたため気付けなかったが、彼女は明らかにこちらを見ていた。
第六に、彼女の顔がどうしても思い出せないこと。思い出そうとすると彼女の顔以外は思い出すのに何故か顔が思い出せない。けれど、若くて美女だった気がする。
最後に、全身赤い人は珍しいと思うのに、私以外の家族は彼女のことを見た記憶がないのだという。
特徴、行動も、都市伝説と酷似していると思う。一つ違うのは、今でも生きているし、それ以来彼女を見ていないということだ。
もし、私が彼女とぶつかっていたら彼女の持ち物を知らずに持ち帰って、取り憑かれていたかもしれない。
何故、3年も経って話したかというと時効だと感じたからだ。ただ、ゴールデンウィークが近づくと話したくなるのだ。
アクロバティックサラサラも「赤」だけに「通常の三倍のスピードで接近する怖いもの」説 ((((;゜Д゜;)))