「あぁ、あ、あなた、平原さんですよね・・・随分若返ったみたいですけど!!」
「アンタかい。アタシ、実は先週お亡くなりになっちゃいまして、
今日は遠路はるばるマリーに会いに来たってわけ」
「あの・・・亡くなったって・・・」
「あぁ、心配いらないよ。もうお葬式も済んだからね」
「あの・・・それで今日はどのようなご用件で?」
「うるさいね、あんたマリーのマネージャーかい?」
幽霊に怒られた。
「マリーを連れて一緒に天国に行くのさ。さ、マリーはどこだい?」
そう言う彼女の後ろに、マリーさんが現れた。
「・・・ラーラ、来ちゃったのね・・・」
「マリー!・・・って、このドレスを着てるときはリリーって呼べって言ってるでしょ!」
幽霊が揉めだした。
「まぁまぁお二人とも、ハーブティ作りますから、リビングへ行きませんか?」
幽霊をなだめた。
どうやら先週亡くなった平原リリは、いつまでもこの家に憑りついてなかなか成仏しない浜辺マリ(マリーさん)を、無理やり一緒に天国に連れて行くつもりのようだ。
「少し寂しくなるけど、霊にとってはそれが幸せなのかな・・・」
そう思いながらフレッシュハーブティを作る。
(少しどころではない。すごく寂しい・・・でも・・・)
リビングの灯りは幽霊にも優しい少し暗めの設定にして、三人でテーブルに着く。
幽霊同志、積もる話もあるようだし、ボクは静かにそれを見守っている。
「さっ、マリー。もういいだろ。一緒に天国へ行くよ」
平原リリが立ち上がってそう諭す。するとマリーさんは
「ごめん、リリー。私行けないの・・・」そう言って、やおら服のボタンをはずしだした。
「これ見て・・・」
「うぉーーい!!」
そう叫んでボクの前に立つ平原リリ。だが若干透けている。
「後ろ向け後ろ!!」























kanaです。
この作品は2022年の春頃に書いたマリーさんシリーズの4編をまとめて、加筆修正してまとめた完全版として書き上げたものです。長編18ページとなりましたが、面白く読めると思いますので、ぜひお読みください。後半に出てくるニンニンこと、除霊師・忍足 忍(オシダリ シノブ)は、朽屋瑠子シリーズの「赤騎士事件」にも朽屋の同僚として登場する除霊師です。スピンオフ参加です。お楽しみください。
読んでいる途中で感情移入をしたようで、涙が止まりませんでした。
良い話や
すごい感動しました?
最高です!
※勲章授与のシーンで脱字がありましたので修正しました。
kanaです。
劇中歌として『ホームにて』と『時はながれて』をマリーさんが歌っていますので、
よろしければそれを聞きながら読んでいただくと、臨場感も湧くと思います。
ちなみに、検索をかけると『時はながれて』と同名のタイトルの楽曲を複数の方が歌われているようで、もしかしたら違う曲を聴く可能性もありますが(笑)、マリーさんが歌っているのはあくまでも「某有名女性フォークシンガー」が歌われている曲です。失恋の歌が多い方ですよね。
では、お楽しみください。
↑↑感動したというコメントをいただいて大変ありがたいです。あと、怖くないのにこわいねボタン押してくださる方、ありがとうございます。
みなさんはどのシーンでほろりと来ましたか?
怖いの苦手な方も、ぜひお楽しみください。
さすがです。
本を買ってみたい
ダメだ、会社の休み時間に読もうとしたけど、読んだら会社で泣きそうになった。これは帰ってからじっくり読ませてもらいます。あぶない
とてもいい話で感動しました。これからもがんばってください。
感動した
感動した。
素晴らしい話しで読ませて頂きました。ありがとうございます
感動
kanaです。皆様コメントありがとうございます。最近Youtubeでも朗読してくれる方が複数おり、大変感謝しています。だってこんなに長いのに。一度朗読したら1時間はかかると思う。自分で朗読すればわかるけど、これってすごい労力ですよね。ありがたいです。
そして正直言うと、このマリーさんのお話は自分的には集大成な気がするので、これを書けたらもう怪談は引退してもいいかな~ぐらいに思ってた作品なので、読まれるとなおさらうれしいですね。
後、どこかのコメントで「テレビドラマ化してほしい」なんてお言葉もいただきました。
それ、できたらスゴイですよねぇ~。夢です。奇々怪々さんの運営でテレビ局にかけあってくれないかなぁ~。テレビ番組で「奇々怪々」、いいよねぇ~。・・・舞台でもいいなぁ~どこかにこれやりたい劇団はいませんか~~?
幽霊めっちゃいいやつ」