そんな自分をふと客観視して俺は気づけば根っからのオカルト人間になったんだなとすこし不思議な関心をした。
石野さんは自身の手元に目を向け「おっとっと」とバランスを崩さないように長く成長した灰を吸殻入れに落とした。
「そういえば壁に張り付いてたアレ、石野さんはなんだと思いますか?」
「あー……なんだろうね…正直私は見えるだけで詳しいわけじゃないから…気持ち悪いのは昔にも何度か見た事あるけど、あんなにキモイのは初めてかも」
吐き出す煙で輪っかを作っている。
どうやら俺や鎖のようにオカルトに熱中して生きてきた人間という訳では無いらしい。
というか話を聞く限り、できるだけ心霊に関わらないようにして生きてきた事が伺える。
これ以上俺のオカルト事情に付き合わせるのは良くないなと思った。
「でも、あれって生き物臭いよね……死んでるのに」
石野さんはボソリと呟いた。
ここで仕事しながらいち早くアレの存在に気づき、アレの成長を仕事をしながら見てきた石野さんの感想。
生き物臭い、たしかに。
成長するというのは生者の権能であり、死者の権能では無いはずだ。
鎖もそこには大きな意味があるはずと言っていた。
だとしたら大きくなる事にはなにか目的があるのだろうか?
石野さんは1本目のタバコをフィルターギリギリまで吸うとその火を消さずに2本目のタバコにその1本目のタバコの火を使って火をつけた。
チェーンスモークというやつだ。
かなりのヘビースモーカーなのだろうか。
「その若さでそんだけ吸ってたら、あっという間に死んじゃいますよ」
「いいんだよそれで、渡辺さんもタバコ吸わないと長生きしちゃうよ?」
「長生きしたいです」
「ははは、そっか」と石野さんは煙を吐き出しながらはにかんだ。
石野さんは滅多に笑わないが、笑えない訳ではないようだ。
「いやーでも、仕事終わりにこれぐらい吸わないとやってられないよ……今日は本当に疲れた」

























けっこうこわかったです。
さすがに44Pもあると途中で挫折しました。
ぜひ今度5Pくらいの短縮版を書いてください。
怖くはない。だが悪くはない。
しんれいかいきみすてりーふうの、とあるぼうけんたん、ちょうへん。
主人公が俺っ娘だとは、ある一節まできがつかなかった 。
いつも空いている席の正体に続く、二作品目読ませていただきました。ジャンルとしては、心霊というより田舎・伝承系でしょうか。
師匠シリーズ、なつのさんシリーズのように登場人物に統一性があり、続編小説を読んでいるようでとても面白いし、なるほど、と思える話でした。次の話も楽しみにしています。
一作品目の話と、こちらの話は、朗読させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
俺は高2なのに1コ上の石野さん大学生なんです?