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呪い・祟り

嘘つき怪談児さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

幽霊部員
短編 2026/02/02 01:10 32view

 え?怖い話ねぇ……。そうだ、怖いかどうか分からないけど、僕が高校生だったときの話をするよ。
 当時、僕は部活で書道部に入ってたんだけどね、まあ、いかんせん地味な部だから、部員が少なかったんよ。で、僕が3年生に上がった年に、存続の危機に立たされたんよね。
 うちの学校は、部員が5人いないと、部として認めないという規則があったんだけど、当時、部員が6人。僕らの一年上が3年生で、二人いたんだけど、卒業しちゃうと4人になってしまう。僕らの代――当時の2年生だね、それが3人いて、下の1年生が一人だったから、新入生が最低、一人は入らないと、部として存続できなくなってしまうというワケだったんだ。
 もちろん、新入生をなんとか勧誘しようと頑張ったんだけど、入ってくれる子がいなくてさ、もういよいよ、今日、誰も入らなかったら、部が潰れちゃうという日になって、1年生の子が、妹に泣きついて、なんとか入ってくれるように説得したと言うんだ。それで、入部届も家で書いてきてくれて。
 でかした!って2年生3人は大喜びしたんだけど、その妹が入部する条件というのが、一切、部に出ない、部員とも会わないということだったんだ。
 それって、完全に幽霊部員じゃん、って他の子も言って、ちょっと不満だったんだけど、1年生が言うには、すごく嫌がる妹をなんとか説き伏せたんだから、これ以上はどうしようもない、自分は妹とうまくいってなくて、というより、むしろ嫌われているぐらいだから、届に名前を書いてくれただけでもめっけものだと言う。
 こっちも背に腹はかえられないから、その条件を飲んで、顧問の先生にも事情を説明して、なんとか廃部は免れたというワケさ。
 でも、やっぱり、どんな妹なのか気になるよね。まあ、僕らも健康な男子高校生だったから、妹と聞けば、書道の実力よりも、見た目が気になる。その1年生は、ひょろりとして、色白だし、女の子にしたら、まあまあ可愛いかも、という感じだったから余計だよ。
 そんなんでさ、一回ぐらい、挨拶だけでもしてほしいと、2年生の3人が代わる代わる言ったんだけど、その1年生は絶対ダメだの一点張りでさ。
 でもそのうち、なんだかんだ言っても、同じ学校の中にいるんだし、こっそり遠くから顔だけ見たら、バレないんじゃね?ってなことになったワケよ。

 それで、知ってる1年生に訊いたりして、なんとか遠目に、チラッと見るのに成功したんだけど……美人かどうか、なんて話じゃなかった。
 くっらい子でさ、それはいいけど、不自然に髪を伸ばして、左目だけ隠してるんだ。あれ?と思って、少し角度を変えて見てみたら、その上に、眼帯までしている。
 なんだこりゃ?と思ってねぇ、でも、あんまりジロジロ見てて、見つかったらヤバいから、僕ら3人は撤退したんだ。
 その日の放課後、部室に集まって、その1年生に言ったもんさ、お前の妹、ありゃ何だ?ってな感じでね。ひっどい中二病だな、とか、3人で散々、バカにしたんだ。
 特に酷かったのが、僕だったんだ、正直なところ。あれ、どういう設定なんだ?眼帯を外したら、闇の力が迸るのか?なんてゲラゲラ笑って、小馬鹿にしてさ。
 そうしたら、1年坊主の顔から、スッと血の気が引いた。
 「ないんですよ」
 すごく静かに、彼が言った。
 「何?何がないの?」
 「左目。妹の左目、ないんですよ。生まれつき」

 ちょっと信じられなかった。嘘やろ?と何度も言ったけど、本当です、と彼も譲らない。
 彼が言うには、妹さんは生まれつき、左目がなくて、小さいときは酷いいじめに遭ったんだそうだ。学年が進むにつれて、露骨ないじめはなくなっていったけど、周りが気を遣って、わざと触れないようにしている、そういう空気感が分かるから、できるだけ目立たないようにして、一人で孤立しても、周囲とできる限り関わらないようにしているんだそう。
 僕らはものすごく謝ったけど、彼は何も言わなかった。そして、それ以来、部活には来なくなった。幽霊部員が二人になってしまったわけだ。廊下なんかで会っても、口もきいてもらえなかった。
 数日後、2年生部員の一人が左目に眼帯をしてきた。どうしたのかと問うと、めばちこだと言うんだ。え?ああ、めばちこ、って分からない?僕らはそう言ってたけど、地方によって、言い方が違うみたいだね。全国的に通じる言い方だと多分、ものもらいというのかな。
 ああ、それだったら分かる?じゃあ、ものもらいと言うけど、それが普通じゃなくて、ひどく腫れ上がって、見るからに痛々しい感じだった。
 まあ、それでも、眼科に行って、薬を処方してもらって、一週間ぐらいで治ったのかな。
 でも、そいつが治ったら、次また別の子がものもらいになって。それも左目なんだ。かなりひどい症状だったようだけど、彼も、一週間ほどでよくなった。
 二人が相次いでそうなったから、ある程度は僕も覚悟してたんだ。これは、あの妹さんの呪いみたいなもんじゃないかって。
 案の定、次は僕の番だった。左目が酷く腫れて、熱も出て、何日か学校を休んだんだ。治るまで、彼らよりは長くかかったけど、まあさすがに死にゃしなかった。
 とはいえ、その結果が、これだよ。

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