「石野さん今日何部屋清掃したんですか?」
「1」
「え?」
耳を疑った。
1、つまり今日は一部屋しか清掃していないという事だ。
パートの熟練のおばちゃん達は今日1人あたり10部屋は清掃していたしバイトに入ったばかりの俺でさえ6部屋は清掃したのだ。
なのに一部屋で疲れるとは一体どういう事なのだろう。
「いや〜、今日15階のスイートルームだったんだけどさ、そこのお客様が本当に気難しくて、神経使ったよ」
「それで、一部屋」
「そ、お風呂洗うだけで1時間もかかったよ」
俺がこのバ先で最も有能だと思ってる石野さんがバスルームの清掃だけで1時間もかかる。
どれだけ面倒な客だったらそんな事が起こるのだろうか。
俺は何となく無意識下のイメージでその部屋のお客様に芸能界の御局おばさんを想像した。
果たして予想は当たっているのか。
「しかもかなり連泊してるお客様だからね、そのうち渡辺さんも任されるかもね」
俺は久しぶりにオカルトとは別で鳥肌が立ったのだった。
「石野さん、言霊って知ってますか?日本に古くから伝わる怖いやつですよ」とあえて口には出さず心の中で唱えるのだった。
翌日である。
俺はまさに昨日心の中で唱えた言霊という言葉の恐ろしさを思い知る運びとなった。
出勤し更衣室でいつものメイド服に着替え清掃予定表を確認した。
1。
俺の清掃予定ノルマにはそう書いてある。
これは、つまり。
「やだぁあ〜渡辺さん5号室のお客様じゃない、入ったばかりなのに大変ね〜」






















けっこうこわかったです。
さすがに44Pもあると途中で挫折しました。
ぜひ今度5Pくらいの短縮版を書いてください。
怖くはない。だが悪くはない。
しんれいかいきみすてりーふうの、とあるぼうけんたん、ちょうへん。
主人公が俺っ娘だとは、ある一節まできがつかなかった 。
いつも空いている席の正体に続く、二作品目読ませていただきました。ジャンルとしては、心霊というより田舎・伝承系でしょうか。
師匠シリーズ、なつのさんシリーズのように登場人物に統一性があり、続編小説を読んでいるようでとても面白いし、なるほど、と思える話でした。次の話も楽しみにしています。
一作品目の話と、こちらの話は、朗読させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
俺は高2なのに1コ上の石野さん大学生なんです?