小便小僧
投稿者:たち (25)
ベルギーの観光名所でもある小便小僧。
私が小学生の時、学校の近くにリアル小便小僧が実在していた。
学校から徒歩で2、3分の所に彼は住んでいたが学校には通っていなかった。
年齢は当時の私と同じくらいか少し上。小学5、6年生くらい。
知的障害があり、いつも何かを叫びながら近所を徘徊し、そこらへんに小便をしていた。
服装はいつも半袖短パン。
まるで犬がするマーキングのように決まった場所に小便をしていた。
学校の目の前の電話ボックス、歩道橋の階段、通学路の途中にある歩道、電信柱、とさまざまな場所にマーキングをしていた。
小学生の頃は彼を見かけるとみんな騒ぎ立て、誰も近寄らず遠くから様子を見てるだけだった。
しかし、中にはわざわざ小便小僧に近づいて、からかう子も数人いた。小便小僧は言葉を理解してるのかわからないが何かを叫びながらからかってきた子を追いかけたりしてる時もあった。
彼の家はたまに玄関が空いていて、中が見える時があった。
家の中はゴミだらけでとてもじゃないが入りたいとは思わなかった。
小便小僧の母親は怖く、小便小僧がその辺で小便をしてるのを見かけると頭を叩いて、無理矢理家に連れて帰っていた光景は何度か目撃したことがある。
そんなある日、私の自宅近くに放課後小便小僧が現れた。私は避けるように帰宅し、自宅からどこに行くのか観察していた。
すると私の自宅の玄関の前で突っ立っている。
「まさか、小便する気かよ」と思って見てると何かブツブツ言っているだけで何もしない。
その場から離れていったので私は安堵し、翌日、学校でみんなにこの出来事を伝えた。
私が6年生になると、小便小僧を見かける機会が減ってきたように感じた。
私が中学生になる頃には全く見かけなくなり、存在すら忘れていた。
それから数十年後、同窓会があり久々に会う友達と昔話で盛り上がった。
「そういえば、小学生の時小便小僧いたよな!」と私はみんなに話題を振った。
しかし、周りのみんなの反応は、
「小便小僧?笑、何それ?」
「いねーよ、そんなやつ!」
と私が予想していた反応は見られず、誰も覚えていなかった。
「はー?いやいや、いたでしょ!あの叫びながら近所を徘徊して小便してたやつ。学校の近くに住んでいてさ。」
と説得しようとしたが誰も覚えていない。
「なんで誰も覚えてないんだ?あんなにインパクトある存在なのに。」と不思議でしょうがなかった。
ある1人の友達が、「どこに住んでるやつだよ?」と言ってきたので家の場所を説明した。
すると、今までワイワイしていた雰囲気が一変し、みんな黙ってしまい不思議そうに私の方を見始めた。「何?どうした?」と聞くと、
「お前こそ、覚えてないのかよ?その家のこと。」
私は思い出そうとしたが、全然思い出せず友達に小便小僧の家のことを聞いた。
「あの家に確か俺らの1つ上の男の子がいて、両親から虐待されて精神的におかしくなって両親に殺された事件あっただろ?警察が家の中に入ったら小便臭かったって噂になってたじゃんか」と言われた。
私は酔いが一気に冷めてしまうほど寒気が走り、何も言えなかった。
「その事件っていつ頃起きた?」と聞くと
「確か、俺らが6年生の頃かな。学校の近くだったから結構な騒ぎになっただろ。で、何故かその男の子の遺品が近所にばら撒かれていたじゃん。」
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