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呪い・祟り

きのこさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

呪うもの
長編 2024/12/23 12:49 2,322view
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 と少し苛いらついた。

 母はその危険なものがいる部屋に、私たちを入らせているのだ。幼い頃からずっと。

 親戚の子供は可哀想だが、自分の子供たちはどうなっても良いとでも言うのだろうか。本当に、気に入らない。

 そして、モヤモヤとした気持ちを抱えたまま、お坊さんがやってきて、法事が始まった。

 法事の最中は、支度部屋との間の扉は閉められていたが、それでも部屋の中からは、こちらを睨んでいる視線を感じる。目を閉じると、あの暗闇の中の細い目が脳裏に浮かんだ。

 法事には親族が大勢集まっていたが、その視線はなぜか私へ向けられている気がした。

 私がそちらへ目をやると、扉は閉まっていて何も視えてはいないのに、目と目が合っているのが分かる。

 あの暗闇の何かが見ているのは、常に私なのだ。
 私が一体、何をしたというのだろうか。 

 ———その時、ふと思った。

 前に友達が遊びに来た時、友達は何も感じていなかった。

 この家の血筋ではない父さんも、何も感じていない。

 でも、他の家族はこの家の血を継いでいるからなのか、たまに気配を感じているように見える。

 あの暗闇にいるものは、あの場所から一切動かない。

 他の、人ならざるものたちとは、少し違う気がする———。

 私がたまに視るものは、人なら人の形をしていて、そこに立っている事が多いが、支度部屋にいるものは、真っ暗な暗闇が本体のように思えた。何となく、暗闇自体がもう家の一部になっているようにも感じる。どちらにしろ、離れる気はないのだろう。

 そして、この家の血筋の人間に対して恨みがあるような気がしたので、私はご先祖様のことを調べたくなった。そうしないと、被害に遭うのは私なのだ。

 どうせ母に訊いても何も教えてくれないので、私は祖父に尋たずねた。

「支度部屋って、前に誰かが使っていた事があるの?」

 本当は、誰かがあの部屋で亡くなったことに気が付いていたが、そう訊いた。

 すると、祖父はしばらく考えてから、

「家はワシが若い頃に建て直して、それからは誰も使ってないが……。今の家は、完全に壊して新しく作ったわけじゃないんだ。古い家の太くて立派な柱は残して、間取りもそのままで、リフォームしたような感じだな。

 それで……、古い家の時には、あの場所には不治の病を患った人が、ずっと寝ていたんだ」と言った。

「不治の病? その人、死んだの?」

「あぁ。10年以上寝たきりのままでな。最後はバケツいっぱいに血を吐いて、死んでしまったよ」

「そう……なんだ。でも、10年以上も生きてたんだよね? それなら、誰かを恨んだりなんて、しないよね……?」

 暗闇の中の目が脳裏に浮かぶ。

 すると祖父は、
「うーん……。どうだろうなぁ……」

 と怪訝けげんそうな顔をした。

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コメント(2)
  • とっても怖くてびっくりしました

    2024/12/26/08:29
  • コメントありがとうございます!!
    byきのこ

    2025/01/09/11:58

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