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心霊

きのこさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

血雪
長編 2025/01/09 12:05 587view

全国的にずいぶん雪がふったね。
おれの住んでいる田舎町(はっきり言ってド田舎)も、
ふだんはあまり雪は降らないんだけど、今回はずいぶん降った。
で、2年前の、同じように雪がひどく降ったときの話だ。

その日、おれは2階の部屋で一人寝ていた。
おれの家はショボい専業農家で、50代の親父と母ちゃんと、おれの3人暮らしだ。
まだ明け方前だけど、下の階で親父がガダガタなにか音をたてて、
玄関から出ていくのを、おれは布団のなかでうつらうつらしながら聞いていた。

天気予報じゃ大雪になるって言ってたので、
親父はビニールハウスが雪に潰されてないか心配で、

まだまっ暗ななかを見にでかけたんだ。

都会のサラリーマンも大変なんだろうけど、こういうときは農家もけっこう大変なんだ。
もっとも、おれの方はこのクソ寒いなかを付き合う気にはなれず、
親父には悪いけど、そのままぬくぬく布団のなかで寝つづけてた。

ところが、しばらくしたら、家の前へギシギシと早足で雪を踏む音が近づいてきて、
玄関がガラっとあいたかと思うと、ドタバタと家に駆けあがる足音が続き、
親父が電話で「・・・そう●●橋の上、救急車!若い女が首やら手首やら切って血まみれで・・・」と叫んでる。

ただごとじゃないと思って、おれが下に降りて行くと、
親父が血相かえて「橋のうえで女が首切って自殺しかけているから、すぐに戻るぞ」と言う。
おれは慌ててスウェットの上からジャンパーを引っかぶり、長靴に足を突っ込むと、

親父といっしょに、まだ真っ暗で雪の降りしきる表に出た。
親父に、「要領を得ないので説明してくれ」と言うと、親父は歩きながら次のようなことを話してくれた。

おれが思ったとおり、親父はビニールハウスを見にいくために家を出たそうだ。
ビニールハウスは、おれの家の近所の、小川に毛の生えた程度の川にかかった、
古いコンクリートの橋を渡った先にあるんだけど、
この辺はド田舎なもんで、街灯は1キロに1本くらいしかなくて、夜は真っ暗闇に近いんだ。
都会の人にはわからないかも知れないけど、ド田舎の夜の暗闇ってのは、ホントに凄いものなんだ。

で、親父が橋の近くまできたとき、その辺に一本だけある街灯の薄暗い光のなかに、
橋の上の欄干の脇で、誰かがうずくまっているのが見えたそうだ。
近づくと、それはコートを着た長い髪の女だった。
親父は、こんな時間にこんな所で何をしているのか、といぶかしんだが、
女が苦しんでいるようなので、心配して「どうしたんですか?」と声をかけたそうだ。

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コメント(1)
  • 投稿者のきのこです
    冬休みの間投稿出来なかったので
    今日はたくさん投稿して取り戻します!!

    2025/01/09/12:08

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