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妖怪・風習・伝奇

ねこじろうさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

火男【ひょっとこ】
長編 2024/10/01 07:05 3,330view

頭が混乱しながらもさらに窓を凝視すると、ベッドの端に小学生くらいの男の子が座り、私の携帯を耳にあててから誰かと話しているみたいだ。

その時私は自分の携帯を部屋に置いてから出かけたことを思い出す。

「ねぇ、ボク!ちょっと、助けてよ!
私はここよ!」

私は男の子に向かって、大声で叫んだ。
何度となく窓を叩きながら叫んだが、男の子は携帯を胸にあてたまま横になっている。

「うう、、、何で気付いてくれないの?
何で?」

随分長い時間恨めしげな目で窓を見詰めていると、突然男の子がむくりと起き上がった。

すると右方から制服姿の警察官が現れ、その後ろからは40過ぎくらいの中年の女性が続いて現れた。

女性は涙を流し何かを叫びながら、男の子に駆け寄ると、抱きしめている。

やがて男の子は女性と手を繋ぎ、部屋を出て行った。

※※※※※※※※※※

私は誰もいなくなった自分の部屋を呆然と眺めながら、暗い洞窟で一人絶望に沈んでいた。

それからどれくらいが過ぎた頃だろう、ふと辺りに目をやると薄暗い闇の中に割烹着で白いオカメの顔をしたあの女が動いているのが見える。

訝しげに思いながら見ていると、女は広場の真ん中に転がる腐りかけた骸の一体の両手を掴み、ズルズル引き後退りしながらどこかに移動している。

私はあとを追った。

女は骸を引きずりながら広場奥にある狭い通路に入っていく。

やがて通路を抜けた先に広がった光景に私はアッと息を飲んだ。

そこはさっきの場所と同じような薄暗い円形の広場。

その真ん中にこんもり盛り上がった小山みたいな場所がある。

その正面にはアーチ型の穴が空いていた。 

それはまるで昔の炉(ろ)のようだ。

穴の奥で眩しいほどの朱色の炎が燃え上がっているのが見てとれる。

9/10
コメント(1)
  • 早速のコメントありがとうございます。
    ━ねこじろう

    2024/10/01/12:47

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