火男【ひょっとこ】
投稿者:ねこじろう (147)
長編
2024/10/01
07:05
6,786view
午後からの講義に出席するためシャワーを浴びた後テーブルに座り、テレビを見ながら朝食を食べていた。
画面ではレポーターの男性がなにやら深刻な面持ちで語っている。
「最近北関東を中心に多発してます未成年者や若い男女の失踪事件なのですが、当番組で独自に聞き込みを行ったところ奇妙な共通点が判明しました。」
隣の若い女性アナウンサーが質問する。
「共通点というのは、どんなことなんですか?」
「被害者が失踪したと思われる日に現場らしき辺りを通りすぎた人のほとんどが、奇妙な音色を聞いているんです」
「奇妙な音色?」
アナウンサーの問いにレポーターの男性は続けた。
「はい、詳しく尋ねると皆一様に言っていたのは、縁日とかで聞く祭り囃子のようなものということでした」
「祭り囃子?」
そろそろ出かける時間になった私は、テレビを消すと立ち上がり部屋を出た。
※※※※※※※※※※
大学の講義を終えた後、コンビニのアルバイトに入り店を出た時は夜の8時だった。
それから人気の少ない帰りの地下鉄車内の長椅子の片隅に座り、今朝のラインのことをまた考えていた。
━カズヤ、、、
あの時そんな奴いたっけなあ、、、
そんな感じで懸命に記憶の糸を手繰り寄せていると眠気を感じだした私は、いつの間にかうつらうつらしだした。
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 12票
早速のコメントありがとうございます。
━ねこじろう