子供が大人になるまでは
投稿者:太山みせる (35)
朝起きて、オレはカレンダーの日付けを確認した
今日は令和6年の…………
あぁ……とうとう来てしまった!
今日は娘の20歳(はたち)の誕生日で、約束の日だ!
今までに何度かあの子から、どうしてパパとママは年が離れているの?とか、どうしてパパは子供がいるのに前の奥さんと別れたの?とか色々質問されていた
その度に、20歳の誕生日にすべてを話すから待っていてくれと、言い続けてきたのだ
そして本日、ついにその日を迎えたのだ
今日は日曜日、リビングで朝食を親子でゆっくり摂った後、妻にコーヒーを入れてもらいながら、娘に話しかける
「花音(かのん)、誕生日おめでとう。約束通りパパたちの秘密を教えるよ。キツいこともあるから、心して聞いておくれ」
その言葉に、可愛い娘はコックリと頷いた
オレは話を始めた
※
「オレは一人っ子で、両親が年を取ってから生まれたこともあってか、とても可愛いがられて育ったんだ
裕福だったし子供に甘い親だったから、欲しいものは何でも買ってくれたし、やりたい事もやらせてもらえた
勉強が苦手だったけど、良い家庭教師もつけてくれて、そのお陰で一流大学にも入れたんだ
大学に入ってすぐ、1人の女性に一目惚れをしてね
蝶子(ちょうこ)という人なんだけど、絶世の美女といっても過言ではないほどに美しい人だったんだ
父親が大企業の社長で、超大金持ちでもあったんだよ
いつも高そうな服やアクセサリーを身に付けていて、すごく派手で目立っていたよ
そんな彼女と付き合いたくてね
オレ自身も容姿が良くてお洒落で、それなりにモテてはいたけど、さすが一流大学ということもあってか、学内には強力なライバルがたくさんいたんだよ
大富豪の息子とか、有名芸能人の息子でモデルやってる奴とか…
また同級生だけでなく、社会人の一流といえる男たちからも、彼女はもてまくっていた
いつでも、男たちに言い寄られていたよ
オレも頑張ったよ、一生懸命に口説いたもんだ
蝶子は美人だけど、性格は悪かった
よく人を見下していたし、傷つくことも平気で言う人だった
ヒステリーも起こしたし、男を奴隷のようにこき使ったりもした
また非常に嫉妬深くてね、自分の取り巻きの男が、他の女とちょっと喋っただけでも、拗ねて周りに八つ当たりするんだよ
それでもオレは蝶子に夢中だった
とんでもない美人で大金持ち、それだけでも魅力的だけど、並み居る強力なライバルに勝ちたかったんだ
そして大学3年の時に、なんと蝶子の方から付き合ってくれと告白してきたんだよ!
オレは人生最大の喜びを感じたんだ
多くのライバルの中からオレを選んでくれたと思ったからね
因果応報だな