古ぼけた赤のセダン

※※※※※※※※※※

　そろそろ山道を抜けるかというとき、Hがトイレに行きたいと言い出したので途中道沿いのコンビニに立ち寄った。

黄色と赤の看板のローカル色満載のコンビニ。

ウインカーを出しながら広い敷地内に入り進む。

駐車場には一台、店舗前に古ぼけた軽トラが停まっているだけだ。

店先に生花と野菜が置いてあるところが何処か田舎くささを感じさせる。

店内はがらんとしていた。

何処からか、微かにBGMが聴こえてくる。

Hが店内奥のトイレに行っている間、俺は陳列棚の間を何気に歩いていた。

賞味期限切れの食材なんかもあったりして、密かに苦笑する。

レジカウンターの片隅には小型のカセットレコーダーが置かれており、そこから昔の歌謡曲が流れているようだ。

ふと見ると、レジ向こうの壁に貼り紙がしてあるのに気付いた。

画用紙くらいのサイズで、あちこち破れたりシミがあったりして、かなり前のもののようだ。

レジ前のワゴンに山積みされた値引き商品を見るふりをしながら、その貼り紙の内容を見る。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【人を探しています！】

平成元年1０月○日、F市の町立○○小学校の5年生5人がこの近くの道を集団下校の途中に消息を断ちました。

5人の写真と名前は下の通りです。

心当たりのある方は、末尾記載電話番号にご一報ください。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

　画用紙下に貼ってあるのは5枚の色褪せた写真。

それらを見た瞬間、ハッと息を飲んだ。

─子供たちが着ている体操着。
確かあれは、さっきの、、、

すると俺の視線に気付いたのか、レジ後ろに立つバーコード頭で中年太りのオタクっぽい店主が困り顔で言った。