【UFO撃墜事件】-女子大生 朽屋 瑠子-
投稿者:kana (210)
「UFO?」
「あぁ、見ろ、やつめあんな低空を飛んで! ここには牛が放牧されてるだろ?だとしたらやつの目的はひとつ!」
「目的?なに?」
「キャトルミューティレーションさ!!」
「ええぇーー!!ウチの牛ちゃんたちになんてことを!!オジサン早く!!」
「オッケー捕まってろ!!」
アクセル全開で走り抜けるピックアップトラック。だんだんUFOが目の前に迫って来た。
よく見ると1頭の牛がUFOの下で光を浴びてウロウロしている。
「牛ちゃん逃げて!!」そう叫ぶ朽屋だったが、次の瞬間、ピンク色をした触手のような、あるいはムチのような長い舌が輪の中心部分から伸びてきて、牛の喉元に突き刺さった。
「くっそ!なんてこった!!」男はクルマを降りるとその様子をパシャパシャと連続でカメラに納めた。朽屋も一緒にクルマを降り、そのまぶしく光るUFOと牛を見た。
その時、車輪のようなUFOの中心にあった球体に巨大な一つ目がギョロリと現れ、朽屋の方をにらんだ。朽屋もにらみ返す。
「牛ちゃん返せーーー!!!」
だが、一瞬牛が断末魔をあげたかと思うと、UFOはそのまま静かに上空へと登って行った。
UFOが上空に去るほど、あたりはどんどん暗くなっていく。
逆にUFOと連れ去られた牛は、真っ暗な夜空の中でハッキリと光り輝いて見えた。
朽屋と三上はそれをしばらくどうすることもできずに目で追っていた。
やがて・・・
「あっ!」二人同時に叫ぶ。UFOから牛が落下したのだ。かなりの高さがあったようで、数秒してからドーンと、まるでダンプカーが横転事故でも起こしたかのような音と地響きが辺りに鳴り響いた。牛を地上に捨てたUFOは、そのまま音もなく遥か上空まで昇り、やがて高速で移動していった。
すぐさま牛に駆け寄ろうとした朽屋を三上が止める。
「待つんだ、放射能が出ているかもしれない! 迂闊に近づいちゃダメだ」
「そ、そうなんですか?」
「待てよ、クルマにガイガーカウンターがあったはずだ」三上が一旦クルマに戻って探し物をしている。そうこうしている間にどこかからヘリのローター音が聞こえて来た。
上空を警戒する朽屋。良く見えないが、ヘリがこっちに向かってくる。真っ黒なヘリで、航空法で定められたライトの点滅もしていない。隠密行動をしているのはあきらかだ。
「うぉっ!ヤバイ・・・逃げよう!!」三上もヘリに気付き慌てだす。
「逃げる?あのヘリから?」朽屋が聞き返す。
「アレはブラックメンだ!!」
「ブラックメン?・・・なにそれ」
「ほら、メン・イン・ブラックとか映画にもなったやつ!!」
「ああ~・・・見てないや」
kamaです。自分で書いてて一番好き。朽屋瑠子シリーズ第13弾はアメリカの大学に通いつつ、UFOと遭遇するお話です。3連休のお供に、ぜひお楽しみください。ここで重要な出会いがあったりしますね。
ところで、作中「MIB」メン・イン・ブラックが登場しますが、ここではちよっとダサめな「ブラックメン」という呼称を使っています。これはボクが中山市朗先生の代表作『山の牧場』が大好きすぎて毎晩聞いて寝ていて、そのせいでそこに出てくる「これがブラックメンだ!」という少年の目撃例として使われるセリフが頭の中をぐるぐる回って、これはもうMIBではなくブラックメンと呼ぶしかない!!と思って使わせていただきました。
今田美桜で実写化して欲しい
藤井マリーはどうか?
クチヤさん、これ最後、ハルトマン大尉とバーに行った後いい感じになってやってますねぇコレは。
なんか無性に牛乳が飲みたくなった。
↑コメントありがとうございます。実写化とか、夢があっていいですね~~~妄想が膨らみます。
朽屋さんのプライベートに関してはボクは口をはさみません。もう大人ですし、恋愛は自由です。
あと、牛乳おいしそうでしたか?実はラストでもう一回現代に戻して三上と牛乳のみにいくオチも考えてたんですけど、まぁそれはまたの機会にとっておきます。
韓国語の怪談サイトでこちらのお話が取り上げられてましたね。やはり朽屋 瑠子シリーズは海外でも人気です!