【UFO撃墜事件】-女子大生 朽屋 瑠子-
投稿者:kana (210)
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2週間後
ラングレー空軍基地にてブリーフィングが行われていた。
今回の作戦の責任者であるジャスティン・エリオット大佐から説明がされる。
「この写真を見てくれ」
モニター画面に、自転車の車輪が二つ重なったような物体が映し出される。
「これは昨日、U2偵察機が捉えた『エゼキエルの車輪=オファニム』の姿だ」
ブリーフィングルームに集まる将兵たちから「おぉ~」と声が上がる。
「NORADが24時間体制で追跡しているこの『オファニム』に関してだが、国防総省からいよいよ撃墜命令が出た。我がラングレー空軍基地からは第27戦闘飛行隊が参加することになった。パイロットはハルトマン大尉、そしてクチヤ・ルコ曹長が任に当たる。尚、クチヤ・ルコ曹長は今作戦参加に際し、空軍付き最上級曹長に特進する」
ハテナ顔で聞いている朽屋。実際朽屋にとっては階級等どうでも良いのだが、作戦を進めるうえで、部隊を規律正しく効率よく動かすためには階級は必要なのだ。
兵士たちから質問が飛ぶ「大佐、オファニムとはいったいなんなんですか?」
「不明だ。その正体は一切不明。だが、やつはテキサスにある軍施設を強襲した敵である。ならば我々はそれがいかなるものであっても報復するのみである」
大佐がつづける。
「オファニムを撃墜するためにクチヤ曹長のカスタムによる特殊なAIM-120Dを2発使用する。今のところ、我が米軍の中でこのカスタムミサイルを操作できるのは朽屋曹長だけだ」
「私は何をすれば?」ハルトマン大尉が質問する。
「クチヤ曹長を護衛する僚機として飛んでもらう。今作戦にとってクチヤ曹長はレアなキーマンとなる。が、知っての通り実戦経験はなく、飛行時間も浅く、未経験の部分も多い。ハルトマン大尉がその部分を補い、今作戦を成功に導いて欲しい」
「万が一、クチヤ曹長が撃墜された場合、作戦はいかようになりますでしょうか?」
「撤退だ。現時点で『オファニム』に対抗する手段は他にない。やつは残った我々の貴重な国家財産をやすやすと奪っていくことになるだろう。したがって、クチヤ機の撃墜などあってはならない」
「了解しました」
「尚、NORADでは『オファニム』は今夕にもサウスカロライナ沖に出ると行動予測している。攻撃のチャンスだ。やつを海上に落し、回収する。回収のための捜索にはマサチューセッツ州空軍のF15と、米海軍からはタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦フィリピン・シー、アーレイバーク級ミサイル駆逐艦オスカー・オースチン、ハーパーズ・フェリー級ドック型揚陸艦カーター・ホールが支援部隊として参加する。以上、なにか質問はあるか?」
「ありません!」
「よろしい。詳細は作戦マニュアルを熟読せよ。尚、本作戦名は『サジタリウスの矢』と称す。作戦は極秘につき、情報保護を厳にせよ。解散!!」
朽屋がハルトマン大尉にそっと聞く。
「ねぇ・・・なんかどっかで聞いたことある作戦名でしたね」
「あぁん?作戦名なんてどれも似たようなもんだろ。それより空軍付き最上級曹長様よ、ベクターノズルを使ったマニューバはしたことあるんかい?」
「ないです」
「かーーっ!そこからかよ!!あと数時間だぞオイ!走れ!地上シュミレーターで基本だけでも覚えろ!!敵のいる超高空は空気が薄くて翼だけじゃ運動性能が落ちるんだよ。推力偏向ノズルを使いこなしてナンボだ! 急げ!!教えてやる!!」
「ハイ! 大尉!!」
仔犬のようにキラキラした目で元気に返事をしてくる朽屋に、大尉は一瞬ドキっとした。
kamaです。自分で書いてて一番好き。朽屋瑠子シリーズ第13弾はアメリカの大学に通いつつ、UFOと遭遇するお話です。3連休のお供に、ぜひお楽しみください。ここで重要な出会いがあったりしますね。
ところで、作中「MIB」メン・イン・ブラックが登場しますが、ここではちよっとダサめな「ブラックメン」という呼称を使っています。これはボクが中山市朗先生の代表作『山の牧場』が大好きすぎて毎晩聞いて寝ていて、そのせいでそこに出てくる「これがブラックメンだ!」という少年の目撃例として使われるセリフが頭の中をぐるぐる回って、これはもうMIBではなくブラックメンと呼ぶしかない!!と思って使わせていただきました。
今田美桜で実写化して欲しい
藤井マリーはどうか?
クチヤさん、これ最後、ハルトマン大尉とバーに行った後いい感じになってやってますねぇコレは。
なんか無性に牛乳が飲みたくなった。
↑コメントありがとうございます。実写化とか、夢があっていいですね~~~妄想が膨らみます。
朽屋さんのプライベートに関してはボクは口をはさみません。もう大人ですし、恋愛は自由です。
あと、牛乳おいしそうでしたか?実はラストでもう一回現代に戻して三上と牛乳のみにいくオチも考えてたんですけど、まぁそれはまたの機会にとっておきます。
韓国語の怪談サイトでこちらのお話が取り上げられてましたね。やはり朽屋 瑠子シリーズは海外でも人気です!