誘拐されたT君
投稿者:Mine (24)
幽霊とかは出てこない話だけどね、と叔父は語り始めた。
叔父が小学生の頃、友達にT君って子がいて学校でも外でも行動を共にし毎日のように遊んでいた。唯一無二の親友だったらしい。
ある日、T君がいなくなった。
誘拐されたのだ。
T君がいなくなる前日の夕方、実は叔父はT君の姿を見ている。
おつかいの帰りにT君ともう1人、知らない大人の男の人が林道のある方向に楽しげに喋りながら歩いていくのを目撃したのだ。
もちろん叔父はT君の家族や警察にその事を伝えたけど、遠目だったしこれという特徴もない男だったから有力な手掛かりにはならなかった。
さらに誘拐だというのに身代金の要求や脅迫と言った電話も何も無く、犯人の目的が一切不明で捜査も難航したらしい。
なんの進展もなく1週間以上過ぎたある日。
「あれ、あの絵あんな色だったか?」
教室の後ろの壁に生徒各々が描いた自画像が貼ってあってT君の絵だけ様子がおかしい。
背景や表情は変わらないけどT君の顔色が妙に赤みが強く感じるのだ。
叔父はクラスの友達にその事を伝え、気のせいだと言われたけど、2日3日と過ぎる内にどんどん赤が強くなって、ついに赤鬼みたいに顔が真っ赤になった。
ここまで来たら気のせいだなんて、クラスの誰も言えなくなった。
「見つけてくれないから怒ってる」
「きっと暑い所にいる」
色んな意見が出たけどT君が具体的に何を伝えたいのか結局分からなかった。
ただ、T君は今とても痛がっている、苦しんでいる、と叔父には感じられて涙が出るほど胸が痛んだそう。
この絵はT君の両親の手元に置いた方がいい、となって教室から消えた。
それからも学校のみんなで駅前や繁華街でビラを配ったりポスターを貼ったりもしたけどさっぱり効果はなくて依然として犯人に繋がる手掛かりは無かった。
今日に至るまで、T君は行方不明のままだ。
けど、とっくの昔にT君はもうこの世にいないと確信していると叔父は言う。
程なくして父親の仕事の都合で転校する事になった叔父は
「T君ちにお別れの挨拶にいこう」
母からそう言われ気の進まないまま母と共にT君の家に向かった。
夕飯をご馳走になったり泊まりで遊んだり、思い出の沢山あるT君の家を見るのが辛かった。
憔悴しきって別人のようになったTの母が応対に出た玄関から叔父は何気なく右手にある居間を覗きこみ、壁に貼られた件のT君の自画像を目にし、すぐさま顔を逸らした。
見てしまった事を心の底から悔やんだ。
T君の顔が、真っ黒になっていた。
せめて天国で安らかに過ごしているよう今も祈っている、と叔父は話を締め括った。
未解決事件ほど残された者には残酷ですよね。
心が痛みました。
T君…(涙)
最後黒人になったの?
ケニア人だったって事?
親父が犯○とかでないことを祈る。
人って超能力あるんやな
えぐいぐらい怖いんだけど
未解決とか可哀想。残された家族が。
いや、ちょっと待て!親父「幽霊が出てこないって」言った?誰が見ても霊障だろ。
表現がひっかかる。
親友としてちゃんと皆に探して欲しいから親父が赤くぬった?
未解決に悩まされ続けた両親がもう死んでいてくれと黒く塗った?
だとしたらホンマにヒト怖やな。
っていう見方もできるなぁ・・