【悲しい灯 事件】-女子高生 朽屋 瑠子-
投稿者:kana (210)
そして胸ポケットから手紙をいくつか出し、K氏に読み聞かせた。
「これは私の大切な宝物です」
それは世界各地の蘇りを施した家族からの、心温まる内容の手紙だった。
まるで今にもハーモニカの演奏でも流れて来そうな雰囲気だ。
K氏はすっかり感動し、ビフロンスの言いなりになっていた。
(その手紙がまったくの白紙であったことも知らずに)
「さぁ、私につづいて唱和してください! 絶対娘を生き返らせる!」
「ぜ、絶対・・・娘を生き返らせる」
「もっと大きな声で!! 本当に娘さんを生き返らせたいんですか?!」
「絶対娘を生き返らせる!!」
「そう!そうです!!絶対娘を生き返らせる!絶対娘を生き返らせる!!」
「絶対娘を生き返らせる!絶対娘を生き返らせる!」
ビフロンスとK氏は、クルマの中で大声でスローガンを叫んだ。
いつしかK氏の中に、強い目的意識が生まれた。
もう迷わない。何があっても娘を生き返らせるのだと。
「さて、それでは娘さんを生き返らせるためのネクロマンシーの準備に入りましょう」
「はい、ビフロンス先生!!」
「先ほどの蝉の実験でもお分かりのように、娘さんを生き返らせるためには、3体の生贄が必要となります。そうですね、できれば娘さんと同年代くらいの子供が良いでしょう。まぁ適当な生贄が見つからなければ、選り好みせずどれでも好きなものを選んでいただいてかまいません。ほら、横断歩道を渡っている大勢の人々がいますよね。そこにこのクルマでアクセル全開で突進してください。生贄は簡単に手に入ります。死んでしまったものはダメです。瀕死状態の者が最良です。だから、殺しすぎないように・・・気を付けて、ね♪」
「ひ、人を殺すんですか?・・・その・・・動物や虫ではダメですか?」
「いい加減にしてください。あなたは先ほど宣言したはずです。娘を絶対生き返らせるんだと!! 考えてもみてください。あなたの大事な娘さんの命は、あなたの命と引き換えにしても良いくらい尊いものなのでしょう? 動物や虫で釣り合うはずがありませんよね? 魂の価値をよーく考えてみてください」
「魂の価値・・・娘の魂に見合う価値・・・」K氏はブツブツと独り言を唱えた。
いつのまにか、アクセルに力が入っていた。
グングンとスピードがあがるクルマ。信号は赤。横断歩道を渡る人々。
K氏のクルマが猛然と突進する。
だが、寸でのところで急ブレーキ。ABSが作動し、クルマは急停車した。
一瞬おどろく歩行者たち。危ない所だった。
kamaです。朽屋瑠子第10作目は、VS 悪魔ビブロンス戦です。
今回はボクの作品の中でもとくに悲しく救われない話となっていた「悲しい灯(ともしび)」の解決編ともなっています。そちらも併せて読まれると、世界観が広がると思います。
お盆休みの暇な時間のお供に、ぜひどうぞ。
kamaです。誤字脱字などいくつか修正しております。もし見つけた方はお知らせください。よろしくお願いします。
いい話だ。
ただ、ちょっと長いで( ´∀`)。
いつも楽しく読ませて頂いております
クッチャルコ新作、待ってました!
心温まる話でハッピーエンド、いいストーリーでとても良かったです
次回作も期待してます
↑kamaです。コメントありがとうございます。ちっょと長いですが、これでもがんばって半分の長さにしました。半分って、すごい削除量でしょw
怖くは無かったけれど面白かったです。
怖いというか、詐欺師ってこうやってだましていくのかという別の怖さがあった。
陽菜ちゃんと同い年の中学生くらいの子たちに読んでほしい気がする
↑kamaです。コメントありがとうございます。
楽しんでいただけて何よりです。朽屋瑠子シリーズはボクが一番楽しんでいるので、同じ目線で見てくれている読者様にはとくに感謝いたします。残念ながら今回出番がかなり短いですけど、これも半分に削ったためですね。削る前のオリジナルでは朽屋が赤ちゃん言葉を使うシーンと、仲間にパンツ見られるシーンもありました。(どんどん怪談から遠くなるので削除)
・・・またいつか別の機会に。
一同に会するじゃなくて一堂だと思います
↑kamaです。ありがとうございます。修正させていただきました。本当に助かります。またなにかありましたらご指示よろしくお願いします。