祖父の話
投稿者:白と黒の旅人 (33)
父方の祖父は霊感がある。
まぁ、昔っから神主一家と関わりあるから無い方がおかしいかも。
そんな祖父が遭遇した妖怪の話。
今は柵などがあるが、祖父の子どもの頃は仕切りも何も無い用水路は沢山あった。
ある日、その用水路に落ちたというのだ。
深さは2.3mはあったそうで落ちたらひとたまりもない。頭から落ちたのでダメかと思ったが空中で身体が止まったらしい。
どうやら誰かが足首を掴んでくれたようだ。
上半身を捻って誰かを確認すると高さが5m程(子ども視点なので本来は3mとかかも)、頭が真ん丸で髪らしきものが長くてボサボサ、目は真っ白で口はない。手が両側に4本ずつあってそれが着物の袖から出ているという奇怪な存在と目があったそう。
このままどこかへ連れ去られるのかと恐怖したが、フツーにそのまま引っ張りあげて、泥を払ってくれたらしい。
祖父が「ありがとう」とお礼を言うと腰から上をブンブン振り回しながら森の方へ歩いていったらしい。
さすがに体をブンブン振り回した時は腰を抜かしたとか。
さて、ハッとして我に返った祖父はそのまま友だちのお父さんこと当時の神主さんに話をした。
当時の神主さん曰く、「それは森の物の怪じゃろ。人に害をなすものもおるにはおるがソイツは別にお前さんをどうこうする気はなかったみたいじゃ。礼を伝えた程度で大丈夫じゃろ。」との事。
物の怪というのは山の物の怪(ヤマノケなど)、森の物の怪(祖父が遭遇したり後はトトロみたいなタイプ)、海の物の怪(磯女とか人魚とかも)そして町や村に潜む物の怪(多分ここら辺が八尺様とかアクロバティックサラサラとかくねくね)などにわけられるらしい。
この祖父が遭遇した妖怪、アクロバティック姦尺様とでも言うべきキメラみたいなやつは森の物の怪に分類できるらしい(あくまで人が分類したもの)。
今となっては「平地の森単体」となる地形が減って来たので森の物の怪は山の物の怪と混ざる形で残っているんだとか。
人助けしてくれるのはいいのだが、なにか悪いことはされていないのかと祖父に聞いたが、「いんや、その後影響あったとしたらちょっち霊感強くなった程度でね?」とタバコふかして言ってた。
それって見えることのデメリット考えたら十分悪い影響なのでは……?
この時代にも沢山妖怪はいるんですね。
そうですねぇ。やはり都心とかとは違って人の暮らす場所と動物が暮らす自然が半々とかで残ってるとまだいるみたいです。
まぁ、私自身は伝承に伝わる妖怪らしい妖怪は見たことないのですが(妖「魔」とされるもっとヤバイものらしきやつなら見たことはある)By投稿者
↑魔とされるもっとやばいやつの話も是非お聞かせ下さいね。