ヌメヌメが最初に出現したのは、X市の小学校だった。
黒く、見た目がヌメヌメしていて、クニュクニュ動くのである。
最初の目撃者は小学生。
蛇口で水を飲もうとした男の子が途中で蛇口から出てきたヌメヌメを飲み
込んでしまった。彼の名を仮にAとしよう。
Aが言うには、口の中でぬるぬるしているのに、飲み込んだ時にザラザラしていたという。
一瞬グッと胸が詰まったような感覚になった後、なんとも言えない爽快感が来るそうだ。
彼は、風邪を引いて喉が痛い時にパスタを食べたような感じ。と訳のわからない例えをしていた。
その時はみんな笑い飛ばせるだけの余裕があった。
やがて給食の時間になった。
その日の給食は、忘れもしないカレーだった。生徒たちは大好きなカレーを早く食べようと意気込んでいた。
配膳し終わり、挨拶をし、カレーを飲み込んだ瞬間、「ヴォエェェ」と音を立ててカレーを吐き出そうとAがもがき出した。
しかし、吐き出そうとしているのに、なぜか口を開こうとしない。
なんとか、吐き出さないように我慢しているのだと、みんなが思い、先生が袋を持ってAに駆け寄る。
しかし、袋を持ってきてもらってもなぜか口を開けずに吐き出そうとはしないのだ。
次第に、Aの頭部が震え出し、ありえないぐらい大きくなってきた。
その瞬間、黒いものがAの口から出た気がした。吐き出せたのだとみんな思ったが、違った。
Aの両目の穴から黒いヌメヌメが出てきていた。
あのカレーの上にはAの両目が浮かんでいた。それを見た瞬間、先生も生徒も、みんな食べたものを吐いた。
何事かと、近隣のクラスからたくさんの人たちが出てきて、一度クラスは別の場所に移動することになった。
この後に、他の人たちがクラスの清掃をしたのだが、黒いヌメヌメはもういなかった。ということ
だった。
次の出現はX駅のホーム。目撃者は電車の運転手だった。
この運転手の方を、仮にBとする。雨の日、Bは朝一番の運転担当だった。
注意事項を確認して、始発の駅を出発する。定時通りにX駅に着く。と安心した時、窓に黒い物体
がぶつかった。
「パァァン!」と音がして、うわ、朝っぱらから人身事故!?と思いながらも、急いで緊急停車し電車を降りて確認に向かった。
すると、何もない。窓ガラスにはしっかりとぶつかった形跡があるのに、線路には、何もそれらしき物はないのだ。
おかしいなと思いしゃがんで確認してみるが、何もない。
一旦車内に戻り無線で報告しようとした時、車体が地震が起きたように揺れた。ありえないほど揺れた。
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