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白と黒の旅人さんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

ありがちな学校の怪談
短編 2024/11/19 18:33 45view

ひと月程前、近畿霊務局というゲームがSteamで公開されたということを知っている人は居るだろうか。

独特の雰囲気があり、それでいて爽快感のある面白いゲームであった。

全国の有名な怪談をモチーフにしていたりといわゆる「ありがち」な幽霊が出てきたりするのだが私もひとつ、ありがちな話をしようと思う。

トイレの花子さんを代表とする「トイレに現れる子ども」を取り扱った七不思議のような話は昔からあり、一時は新しく作られた学校でも「トイレの〇〇」に類するものが生まれることもあった。

私の小学校も似たような話はあり、「毎日ランダムなトイレに見た事あるようなのに顔や特徴の細かい部分は思い出せない謎の子」が現れるというものだ。
4年生ぐらいの児童はそういった話を探るために授業中過度にトイレに行ったりする子もいたがハッキリとした目撃談もなく、いつしか別のありがちな七不思議、怖い話に取って代わられていった。

そんな小学校だが、運動場がかなり大きく、放課後児童クラブの棟増設やトイレの改築があっても狭くなった気がしないほどである。

そんな大きさが故に自治体主催のイベントでは屋台を運動場外周に並べ、簡易的なステージを用意して地域のクラブや楽団による催し物をしたりと校舎を活用した使われ方がしていた。

体育館を楽団等の控え室に使うため、実行委員が使用するトイレは本部付近の校舎入口のトイレが中心となる。
私も例外なくそのトイレを使用していた。

用を足すためにトイレに向かうと体育館の方からパタパタと走る音がする。音に気づき振り返ると、私が振り返った逆の方を走り抜け、子どもが1人トイレの個室へ入っていった。

親がステージに出演するのだろう。たぶん、体育館のトイレの個室を誰かが使っていたため体育館から近いトイレに駆け込んだのだと特に気にすることも無く私は用を足し、手を洗っていた。

ふと振り返るとトイレの入口や廊下に土が落ちている。スリッパも多少乱れているものの使用した形跡はないためどうやらその子は靴の土を落とすことなくトイレに駆け込んだようだった。

急いでたんだろうなぁと思いつつも近くにあった外掃除に使うちりとりを記憶を頼りに持ってきて土を片付けた。

私より後にトイレを利用した別の実行委員の人もトイレの入口や廊下に土が落ちているのを見つけていた。
ただその人は「誰かここで泥団子でも作ったんかねぇ、湿ってるというか掘り返したような土が落ちてたよ」と言っていた。その人も、誰かがトイレにいるのか鍵のしまった個室を目にしていたらしい。

私がトイレを出てから20分程経っていたため「お腹が痛かったのではなく、吐き気があってトイレに駆け込んだのでは?」と2人で思い至り件のトイレに向かった。
とはいえ、特に土が落ちているとか、まだ誰かいるということはなかったため「問題なし」としてその場を後にした。

後で思い返せば私は「廊下の左側」を歩いていた。そして私は足音に気づいた時、「右から後ろを振り返った」そしてその逆側を「子どもが走っていった」。

当然そこは壁であるし、振り返った側とは逆側を走り抜けているのならその子は当然、私からはほぼ見えないだろう。

私が見た子どもはなんだったのかそれはわからない。振り返ったはずなのにトイレが真正面に見えていたこともおかしい。
少なくとももう1人の実行委員が見かけた湿っぽい土は私の靴から落ちたものだと思いたい。

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