百鬼夜行の口
投稿者:白と黒の旅人 (33)
2023年7月18日、トラック運転手さんと話をする機会があった。
40半ばの先輩ドライバーと20半ばの後輩ドライバーの体験談です。
「百鬼夜行って知ってるか?夜中に妖怪がパレードするってやつ。俺らそれ見たんだわ。」
先輩ドライバーが話すことに後輩ドライバーは「んな事もありましたねぇ。6月半ばでしたっけ?」と返した。
なんでも2人で深夜の国道を高速道路までの間運転していた時の話なのだとか。
大体12時頃、運転していたトラックのミラーに変なものが映りこんだ。
制限きっかしの時速50kmぐらいで速度ちゃんと守って走ってるとトラックと一定の距離を空けて「歩いてくる」人が2.3人映った。
どう考えても生きている人間では無い。
高速に乗ったら振り切ってしまおうと思っていたら信号に捕まった。
足元をゾワッとした感覚が断続的に続く。サイドミラーには20人ぐらいの人間が歩いてきており、車を通り過ぎているらしいが肉眼では見えなかった。
しばらくすると今度は後ろから「殿なり。殿なり。」となんというか野太い男の声で女性の声を真似たような声色の声が聞こえてきた。
こいつは流石にヤバイと、周りに車がいないのをいいことに直進レーンにも関わらず右折のウィンカーを出して右に曲がったのだとか。
「そんときにさ、見ちまったんよ。なんつーか追い抜かれたんかね。トラックん中通過してく『口』をよ。足から丸呑みにされたらあんなふうに見えるンかね、想像したくねぇや。」
どういうふうに見えたのか気になったので具体的に聞くと後輩ドライバーくんが自分の口の中を外向きに上顎、下顎両方撮影し合成して「こんなんっす。」とみせてくれた。
後輩ドライバーくんには悪いけど結構キモかった。
人の歯の裏側がしっかりと見え、一部分だが先輩ドライバーさんと私の顔が口の向こう側に見えている。
本来見ることの無い景色に嫌悪感を抱いた。
「うっわ…これは確かにキツイですね…。」
「だろ?20年ぐらいドライバーやってるけどンなもん見たことなかったよ。前に車見えてんのに雪に轍(わだち)なかったことならあるけどよ。」
「俺も初ッスねぇ心霊体験は。二度としたくねぇ。」
そんな感じで会話をしていた。
2人にタバコ買ってきたら結構嬉しそうにしてくれた。
さて、まず「殿」とは主に退却する軍の最後尾で追ってから味方を守る役割をする部隊のことだ。この場合はおそらく「何かから逃げる集団の最後尾」という意味で口は言っていたのだろう。
そして百鬼夜行の最後に現れるのは「空亡」である。
夜明けと共に現れるとも言われる黒い太陽のような妖怪。太陽そのものを妖怪にしたと言われているが、あれが本当に百鬼夜行だとしたら2人の後ろに「空亡」が迫っていたのだろうか。
あのまま直進していればどうなったのだろうか。
空亡はあくまで創作上の妖怪です。しかし、私は空亡以外に百鬼夜行の最後に来るとされる妖怪を知りません。
最後尾は本当に最後尾だったのかさらに後ろに何かいたのかは当事者でない私には不明です。
ゾッとした。心霊体験は、いきなりやってきますね。
そうですねぇ。
いつ来るか分からないものだからこそ恐ろしいとも言われますし。
「きっかし」で笑ってしまった
どこかの方言なのでしょうか
そうですね。
意味的には「ちょうど」という意味です。他にも似たような意味の方言に「きっかり」「ちょっきし」などあります。ちょっきしに関しては道産子の方々は馴染み深いのではないでしょうか
By投稿者
知り合いの宮司様でも祓いきれないのかな?
どうでしょう。百鬼夜行って祓う祓わないとか関係なく触らない方がいいでしょうからねぇ〜