インターホン
投稿者:白と黒の旅人 (33)
大学生時代、飲食店のバイトしてたことがあった。
その飲食店…喫茶店は土地自体曰く付きな場所に建っており、当時大学生になったばかりの私は変にひきつけられ、アルバイトとして勤務することになっていた。
マスター自身も霊感があり、アルバイトが少ない頃は2人で「今日も特殊なお客様がいらっしゃったね」なんて話すほどだった。
これは、そんなある日のこと。
私は勤務する時間はアルバイトの中でもトップクラスに長かった。
その日、夜のシフトだったから閉店まで残ってた。
閉店のタイミングで来るお客さんは常連さんだけど、その頃既に今の家(事故物件)に住んでたからたまに職場についてくるヤツがいた。
同じシフトの人達、私含めて4人ほどの中に霊感がある後輩ちゃん(霊感ちゃんとしよう)がいて、たまに私がずっと見られてるって旨を教えてくれたけど私は気にしてなかった。家でも実害はほんとにない。
ある時、夏が近づいて、仲良くなったバイトの4人(霊感ちゃんと私以外の2人をKくん、Sちゃんとしよう)で肝試しにでも行こうか、なんて話をした。
選んだ心霊スポットは大阪の犬鳴トンネルだとかそこら辺の有名どころ。
もちろん、霊感ちゃんはビビってた。昔からその強い霊感故に、ビビりになってしまったらしい。私も何となく動揺しては危険と思い平常を装ってたけど正直、何かあっても全員無事で帰れるとは思っていなかった。家で慣れてると思っても、なんというか悪意みたいなものを感じたから。
帰ってきてから4人が再び集まるバイトの日、4Sちゃんだけは早めにシフト入ってて私と交代だった。
交代の時間は夜9時頃。その時、お店宛の宅配便などを受け取る裏口のインターホンが鳴った。
帰り際、そこから店を出るスタッフも多く、交代するスタッフの何人かが「シフト終わったのに…」て顔をして、なかなか出れないって雰囲気を出していた。
もう一度鳴ったインターホンに対応するために私と霊感ちゃんが持ち場を交代し、私が対応した。
結論から言うと、誰もいなかった。
「イタズラかな?迷惑だね〜。みんな、気をつけて帰りなよ」って、交代する人達を見送った。
客足が減った頃、霊感ちゃんとインターホンの話をしていると、犬鳴トンネルに行ったうち、Kくんが「今日てか昨日?俺ん家夜中にインターホン鳴ったんですよ。もしかして………?」
霊感ちゃんと私は顔を見合わせた。あの日の帰り際、安全確保の為そういったものが憑いていないか確認したが見ていない。結局原因は分からずじまいだったが、人的なものの可能性を考えてKくん、霊感ちゃんの2人を私の車で送った。
自宅に帰ってゆっくりしていると、私の家のインターホンが鳴った。覗き窓から見てもドアの前には誰もおらず、いるとしたら家の前の階段を降りたところのインターホンの前。
しっかり見ようとインターホンに搭載されたカメラを見ようとしたが、家内の機械からインターホンについたカメラを見るためには応答せねばならず、店のことがあり用心していて、2階の寝室から見ることにした。
カーテンから隠れて見ていたが特に誰もいなかった。
後日、今度は犬鳴トンネルに行った4人全員が同じシフトだった。昨日先に帰ったSちゃんを除き、Kくん、私、霊感ちゃんは皆家のインターホンを夜中に鳴らされていた。
誰もインターホンを押した犯人は見ていなかった。
心霊スポットに行った手前、霊的なものの可能性も考慮しつつ、人的なものの可能性が高いとし、マスターさんと話し合い、私とその3人を同じシフトにし、出勤、退勤時可能な限り私の車で移動できるように組んでくれた。
シフトの組み換えがあってからも時々インターホンがなることはあり、怖がった3人は日中それぞれの学校に行くことが少なくなった。夜中に家に家族がいなくなる日は、バイトという名目で喫茶店でマスターが匿ってくれることになった。
私の家は特にインターホンが鳴らされることは無かったが、得体の知れない何かがずっと隠れてこちらの帰りを待っており、頃合いを見てインターホンを鳴らすというのはなんとも気味が悪かった。
私に被害が無いとはいえ、他の3人に被害があっては意味が無い。1度4人でお祓いに行くと決め、マスターに相談して4人の休日を揃えて貰った。
お祓いしてくれるのは、昔から私の知り合いの小さな神社の宮司さん。
比較的田舎な私の地元は神道系を信仰する割合が高かった。
昼間から4人で車に乗り、神社へ。着いた頃には既にお祓いの準備は整っていた。
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