山の守り人
投稿者:キミ・ナンヤネン (88)
男の首は胴体から離れて地面に転がった。
「うわああ!」
俺は腰を抜かしてその場に座り込んだ。
男の生首が横向きにゴロゴロと転がり、顔がこちらを向いたと同時に俺と目がった。
その目は、明らかに俺を睨んでいた。
そう思った瞬間、俺の意識は遠のいた。
しばらくすると、遠くから
「こっちか!?」
「いたぞ!」
誰かの声が聞こえて意識を取り戻した。
目を開けて声のする方をみると、猟銃を構えた猟師だろうか、二人の男がゆっくりとこちらに近づいてきた。
〈俺は助かったのか…?〉
「大丈夫か、しっかりしろ!」
猟師の一人が俺の頬を2、3度軽く叩くと
「だ、大丈夫です…。」
俺はそう答えるのがやっとだった。
〈…しかし、さっきの男は何だったんだろう…、とにかく気持ちが悪かった…〉
まだ少し朦朧としている頭でそう考えていると、
「なんだ、密猟者じゃないようだな。」
もう一人はそう言った。
「…密猟者…?」
「ああ、この辺は特別なキノコが採れるんだが、密猟者も多くてな。」
「…鹿や猪だけじゃなくて、植物やキノコも『密猟』っていうんですか…?」
何となくその言葉に違和感があり、思わず聞いてみた。
「厳密には違うんだろうが、まあ、そういう事だ。」
曖昧な返事だったが、言葉を交わすうちに俺はだんだんと目が覚めてきた。
背が高い方の猟師(Aとする)が
「で、お前さんは何でこんな所に?」
「何で、と言われても…あても無くドライブしてたらいつの間にかここに…。」
背の低い方の猟師(Bとする)は警戒して猟銃を俺に構えながら
ご冥福をお祈りします。