男の首は胴体から離れて地面に転がった。
「うわああ!」
俺は腰を抜かしてその場に座り込んだ。
男の生首が横向きにゴロゴロと転がり、顔がこちらを向いたと同時に俺と目がった。
その目は、明らかに俺を睨んでいた。
そう思った瞬間、俺の意識は遠のいた。
しばらくすると、遠くから
「こっちか!?」
「いたぞ!」
誰かの声が聞こえて意識を取り戻した。
目を開けて声のする方をみると、猟銃を構えた猟師だろうか、二人の男がゆっくりとこちらに近づいてきた。
〈俺は助かったのか…?〉
「大丈夫か、しっかりしろ!」
猟師の一人が俺の頬を2、3度軽く叩くと
「だ、大丈夫です…。」
俺はそう答えるのがやっとだった。
〈…しかし、さっきの男は何だったんだろう…、とにかく気持ちが悪かった…〉
まだ少し朦朧としている頭でそう考えていると、
「なんだ、密猟者じゃないようだな。」
もう一人はそう言った。
「…密猟者…?」
「ああ、この辺は特別なキノコが採れるんだが、密猟者も多くてな。」
「…鹿や猪だけじゃなくて、植物やキノコも『密猟』っていうんですか…?」
何となくその言葉に違和感があり、思わず聞いてみた。
「厳密には違うんだろうが、まあ、そういう事だ。」
曖昧な返事だったが、言葉を交わすうちに俺はだんだんと目が覚めてきた。
背が高い方の猟師(Aとする)が
「で、お前さんは何でこんな所に?」
「何で、と言われても…あても無くドライブしてたらいつの間にかここに…。」
背の低い方の猟師(Bとする)は警戒して猟銃を俺に構えながら
ご冥福をお祈りします。