「じゃあ・・・しよ。私も初めてなの」
「えっ、今、ここで?」キョロキョロ辺りを見回す数馬。
「んっ!」・・・数馬をだまらせて無理やり唇を奪う澪。
長い沈黙のあと、澪は少し涙目で静かに語りだした。
「ごめんね、私、ファーストキスは数馬とって思ってたから」
「そ、そうなんだ・・・なんか、ありがとう。・・・ってお礼言うのも変だけど」
「私、数馬に言ってなかった秘密があるの」
「えっ、なんだい、今度は・・・」
「数馬、このあいだ電話で死神を操っているって言ってたでしょ?」
「あぁ、友達に見えるやつがいてさ、そいつが教えてくれたんだ。死神が来てるって」
「私も、小さい頃に悪魔に出会ってて、そいつが私の身体に憑りついているの」
唖然としながら澪の話を聞く数馬。
「悪魔はね、私に憑りつく代わりに、ひとつだけ約束してくれたの。誰か一人を殺す権利をあげるって。・・・だから私・・・麻生 数馬を殺してくださいってお願いしたの」
「なんだって?どうしてそんな・・・」
「あなたにこれ以上、人殺しなんかさせたくなかった!!・・・でもダメだった・・・悪魔に断られちゃった」
「なんてことしてんだよ、澪ちゃん、危な過ぎだよ!」
数馬は混乱していた。情報量が多すぎる。
キスを迫って来た幼馴染が、実は悪魔に憑りつかれていて、しかも自分を殺そうとしていたのだ。もうナニがナンだか訳が分からない。
「今日、それが神父様に見つかっちゃって・・・悪魔払いの方法として、朽屋先輩っていう三年の先輩とキスすることになっちゃって・・・」
「な、なんだって?」
「見ず知らずの先輩とするくらいなら、数馬と先にしなきゃって・・・」
「なんてこった・・・ど、どんなやつなんだ、朽屋って・・・」
「どんなって、スポーツ万能で、いろんなクラブの助っ人で活躍してて、もう学校中の女子からも大人気の・・・」
「クッ・・・スポーツ万能の色男ってわけか。そいつがキスで悪魔祓い? 嘘くせーーー!!」
数馬は大きな勘違いをひとつしていた。頭に血が登ってしまい、澪の学校が女学校だという事をまだ思い出せてない。
「いや、その・・・」
「そうだ、いいことを思いついたよ。その悪魔を呼び出せるかい?ボクの死神でその悪魔を殺そう。そうすれば、そんな色男とキスなんかしなくてもいいだろ?」
「そ、そうね・・・本当にできるの? あと、色男じゃなくて・・・」
























kamaです。
朽屋瑠子シリーズも今作で6作目です。過去作品も読まれますと世界観が広がってより楽しめると思います。
また、今回のお話は以前投稿いたしました「四つ葉のクローバー」と「さようなら」そして「さようなら~その後~」というお話の解決編ともいえる内容となっていますので、合わせて読まれると楽しさも倍増かと思います。よろしくお願いします。
kamaです。
これはあくまでも個人的になのですが、今回これを書くときに・・・
朽屋瑠子=アンジュ・カトリーナ
貴澄頼子=リゼ・ヘルエスタ
神永澪=山黒音玄
四つ葉のクローバーの悪魔=ピーナッツくん
の声を当てながら書いていました。みなさんなら、どんな声をあてますか?
思わぬ展開で数馬君に憑いていた死神が違っていたなんて@_@このシリーズが実写版になったら観たい!瑠子シリーズのファンです。
↑kamaです。さっそくありがとうございます。13ページもある長編読んでくれてありがたいです。
そうですね~実写化とかあったらおもしろそうですね。漫画化やアニメでもいいですね。
どなたか奇特な同人作家の方がいたら、いかがですか?
kamaです。いくつかの誤字脱字、てにおはの修正をして、少し読みやすくいたしました。
よろしくお願いします。
Kama先生、久しぶりの新作ありがとうございます。以前から思っていたのですが本当はプロの作家でしょうか?
↑kamaです。楽しんでいただいてありがとうございます。ボクの素性は内緒にしておきます。読者の夢を壊さないのが作家たるもの・・・(てことは身バレしたら夢を壊す人なんだな)辞めておこう。
kamaです。
実はこの裏で暗躍している組織について「名前はないの?」という質問をいただいています。
ここでは封魔部隊といったり、単に組織といったり、あるいは朽屋が「お掃除部隊」と呼ぶこともありますが、設定上は名前はあります。
ただ、この組織は平安時代から陰陽師の集まりで構成された部隊であり、禁裏を魔物から守るのが主任務ということで、名前を名乗るといろいろ各方面に問題がありそうなので、物語上、名乗るのを自重しております。
「イギリス・チャーチル国王の載冠式に黒ずくめの死神が映る」
なんてニュースが流れてきました。
・・・まさかねぇ・・・。