「・・・ふぅ、すまないね。では聞かせてくれるかな、数馬クンの事」
神永 澪は、麻生数馬の事を語りだした。
彼とは幼馴染で、幼稚園も小学校も同じ。
だが、ある時からおかしなことを言うようになった。
「さようなら」と別れの挨拶をするだけで、相手を殺してしまうことができるというのだ。
「信じられない」というと、実験してみようという話になり、いつもうるさく吠える近所の飼い犬に向かって数馬は「さようなら、さようなら」と連呼して見せた。
その一週間後、飼い犬は眠るように死んだという。
「数馬はそれまでに、自分の祖父と学校の先生を一人殺しています。その時は自分の能力に気付いておらず、事故だったと弁明していますが、その後も数馬の周りでは不審な死がいくつかありました。もちろん数馬がやったという証拠はありません」
「ふむ。なかなかやっかいな能力をもっているようだね」
「それで・・・今から1か月くらい前だったと思いますけど、暴走族の集団が暴走トラックに轢かれて高校生5人が亡くなった事故・・・あれも数馬の仕業なんです。電話で教えてくれました。社会のゴミを片付けただけだ・・・と言っていました。でも・・・まだ未来のある高校生を5人も殺したのは事実です。きっとこれからも、社会のゴミとレッテルを貼って・・・何人も殺すかもしれません・・・だから・・・」
「そうか。それでキミの悪魔を使って数馬クンを止めようと・・・。実は朽屋クンと頼子クンの二人は、その麻生数馬の死神を目撃しているんだ。バーガーショップに立ち寄った時に、偶然目撃したのだが、すぐに消えてしまって足取りを掴めず、その時は術者を特定することもできなかったそうなのだが・・・君のおかげで対象が絞り込めたよ。ありがとう」
「そうなんですか・・・死神を使っていると本人からも電話で言われていましたけど、目撃されていたなんて・・・本当に死神がいたんですね」
「いいかい、神永クン。今後は数馬クンに近寄るのは厳禁だ。あとは我々に任せるんだ。それとキミの体内に巣食う悪魔だが、キミの血を吸いながら成長してキミの体をむしばんでいるのは事実だから、あまり悠長にしている暇はないよ。早急にかたずけよう。なぁに、朽屋クンはああ見えて芯はしっかりしている。安心したまえ」
「ハイ」
だが、その日の晩。神永 澪は神父の言いつけを守らず、麻生 数馬を呼び出して二人だけで会う事にした。
・・・・・・
二人は多摩川の河川敷にある公園に来ていた。もう夕日は沈み始め、あたりは暗くなりかけていた。
「どうしたんだい、澪ちゃん、急に呼び出したりして」
「あのね、数馬・・・。数馬は私の事、好き?」
「えっ?好きって・・・そりゃ・・・なんだよ、どうしたんだよ!?」
「数馬って、キス、したことある?」
「えっ、なんだよ、ないよそんなもん・・・」
「・・・私、とじゃ・・・嫌?」
「ななな、何を、どうしたのくぁwせdrftgyふじこlp」
「ふじこじゃなく! ねぇ、私の目を見て言って」
「い、嫌・・・じゃない・・・けど」























kamaです。
朽屋瑠子シリーズも今作で6作目です。過去作品も読まれますと世界観が広がってより楽しめると思います。
また、今回のお話は以前投稿いたしました「四つ葉のクローバー」と「さようなら」そして「さようなら~その後~」というお話の解決編ともいえる内容となっていますので、合わせて読まれると楽しさも倍増かと思います。よろしくお願いします。
kamaです。
これはあくまでも個人的になのですが、今回これを書くときに・・・
朽屋瑠子=アンジュ・カトリーナ
貴澄頼子=リゼ・ヘルエスタ
神永澪=山黒音玄
四つ葉のクローバーの悪魔=ピーナッツくん
の声を当てながら書いていました。みなさんなら、どんな声をあてますか?
思わぬ展開で数馬君に憑いていた死神が違っていたなんて@_@このシリーズが実写版になったら観たい!瑠子シリーズのファンです。
↑kamaです。さっそくありがとうございます。13ページもある長編読んでくれてありがたいです。
そうですね~実写化とかあったらおもしろそうですね。漫画化やアニメでもいいですね。
どなたか奇特な同人作家の方がいたら、いかがですか?
kamaです。いくつかの誤字脱字、てにおはの修正をして、少し読みやすくいたしました。
よろしくお願いします。
Kama先生、久しぶりの新作ありがとうございます。以前から思っていたのですが本当はプロの作家でしょうか?
↑kamaです。楽しんでいただいてありがとうございます。ボクの素性は内緒にしておきます。読者の夢を壊さないのが作家たるもの・・・(てことは身バレしたら夢を壊す人なんだな)辞めておこう。
kamaです。
実はこの裏で暗躍している組織について「名前はないの?」という質問をいただいています。
ここでは封魔部隊といったり、単に組織といったり、あるいは朽屋が「お掃除部隊」と呼ぶこともありますが、設定上は名前はあります。
ただ、この組織は平安時代から陰陽師の集まりで構成された部隊であり、禁裏を魔物から守るのが主任務ということで、名前を名乗るといろいろ各方面に問題がありそうなので、物語上、名乗るのを自重しております。
「イギリス・チャーチル国王の載冠式に黒ずくめの死神が映る」
なんてニュースが流れてきました。
・・・まさかねぇ・・・。