帰ってこない息子達を探しに行くと…
投稿者:キョンシーズ (11)
私には5人の子供がいるのですが、そのうちの2人の息子は多感な中学生。
年頃も年頃なので「ちょっと友達と肝試し行きたい」などとよく言ってくるのですが、自分の経験上、心霊スポットなどに行くといい事などなにもない事は百も承知なので「ダメだ!」と言って自分が今まで経験してきた恐ろしい経験を話したりして心霊スポットに行く事を頑なに禁じていました。
しかし年頃の息子達はちょっとした反発心からか、親の言う事など素直には聞きません。
ある日、二人で遊びに出かけて夜遅くなってもなかなか帰ってきませんでした。
息子達は年頃なのでちょっとした夜遊びだろうと私はあまり気にしていませんでしたが、妻は心配でいてもたってもいられない状態だったので「そんなに心配しなくても。夜遊びの経験位お前もあるだろ?」と言っても妻は「なんか嫌な予感するんだって。それに連絡もつかないし……」と何度かけても繋がらない携帯を握りしめてソワソワと落ち着かない様子でした。
女の勘はよく当るとはよく言ったもので、私と同じく普段は割と息子達に対して奔放にさせている妻がここまで心配しているのは確かにおかしいと感じ、妻の母親に来てもらい下の子達の面倒をお願いして妻と一緒に息子達を探しに行く事にしました。
気付けば時刻は午前0時を過ぎた所。
特に門限を設けていない我が家にあっても息子達がここまで遅い時間まで帰ってこないのは珍しかったので、段々と私も心配になってきました。
息子達が行きそうな場所をしらみつぶしに車で捜索していると、運転をしている私の横で妻が息子達と仲のいい友達の親御さんに連絡を取っていました。
すると息子達以外にも家に帰ってきていない子が3人ほどいる事が分かり、その親後さん達とも合流して一緒に捜索をする事に。
二台の車に分乗して引き続き付近を捜索していると、一人の親御さんがある手がかりを見つけました。
それはその親御さんの子供のSNSのアカウント。
投稿を見てみると20時頃に「今から肝試し~」と言うコメント共に、とある廃墟の写真が貼り付けられていました。
その廃墟は地元ではかなり有名な心霊スポット。
件の投稿を最後に更新された形跡がないそのアカウントを見て私達は一気に不安になりました。
(あれほど行くなと言ったのに……)と思いながらも、子供達の身を案じてすぐにその廃墟に向かいました。
私達が住む場所から少し遠い場所にあるその廃墟は、何十年も前に何らかの事件が起きたと言われている古びた大きな一軒家。
事件以降数々の霊的現象が起きる様になり、買い手も見つからずに何十年もそのまま放置されたその廃墟は異様で不気味な雰囲気を醸し出していました。
私が若い頃から有名だったその場所は足を踏み入れると絶対に何らかの現象が起きると言われ、軽い気持ちで肝試しなどすべき場所では無かったので、若い頃に数々の心霊スポットに成り行きでよく行っていた私でも足を踏み入れた事はありませんでした。
子供達の自転車が廃墟の前に停めてあったので、この場所にいる事を確信した私達は車を停めて懐中電灯を手に廃墟の敷地内に足を踏み入れました。
敷地内に入った瞬間に一気に体感温度が下がり、とてつもない寒気に襲われた私は(ここはホントにヤバい場所だ)と本能で察知し、女性陣を車に戻して私ともう一人の父親さんと二人で廃墟の中に入る事にしました。
正面の玄関は鍵がかかっていて入れなかったので裏に回ると板が外されてガラスが割られた窓があったのでそこから中に入ると、そこはありとあらゆる物が散乱した茶の間でした。
当時の生活感がそのまま残された様な古めかしい物ばかりが散乱する茶の間の中を一歩一歩慎重に進んでいき「おーい!○○、○○いるかー!!」と自分の息子達の名前を叫ぶも反応は無し。
一階を隅々まで探してもどこにも子供達の姿は無かったので、二階に上がる事にしました。
すると二階から微かに物音がしたので急いで階段を駆け上がると、黒い影が一つの部屋に入っていくのが見えました。
子供達のうちの誰かだと思い小走りでその部屋に行き、中に入るも部屋の中は物が散乱しているだけで誰の姿もありませんでした。
「今確かに誰かいたよな?」と二人で首をかしげていると次は隣の部屋から「とんとんっ!」と壁を叩くような音がしました。
その瞬間に私達はさっきの影が子供達のものではなく、ましてやこの世のものの姿でもない事を察知しました。
そう、ここは有名な心霊スポット。
しかも足を踏み入れると必ず何かが起こると言われている場所だったからです。
久しぶりに体験する霊的な現象に、私は恐怖心で逃げ出したくなりましたが、息子達の事を思い何とか踏みとどまって再び子供達を探しました。
若気の至りじゃ済まない、好奇心は猫をも殺す、生命に関わる事件になりかねない出来事ですね。
アグレッシブな霊が出現しましたね。
子供たちを探す親側視点は珍しかったのでワクワクした