帰ってこない息子達を探しに行くと…
投稿者:キョンシーズ (11)
二人で恐怖に身体を震わせながらも一歩一歩慎重に歩を進めて異様な雰囲気が漂う廃墟の中を隅々まで探しましたが、二階の全ての部屋の中を見てみても子供達の姿はどこにもありませんでした。
確かに自転車はあるのに姿の見えない子供達。
最悪の事態が頭の中を過ぎりながらも、もう一度中を徹底的に捜索する事にしましたがやはりどこにも子供達の姿はありません。
最初に入ってきた茶の間で二人で汗を拭いながらどうしようか話し合っていると、階段がある廊下の方から足音が聞えました。
「ペタっペタっ」と裸足で歩くような音と「ギシギシ」と床板がきしむ音が聞え、音のする方を懐中電灯で照らすも誰もいませんでした。
すると「バターンっ!」とものすごい勢いで懐中電灯で照らしていた方のドアが閉まり、私達がいた茶の間の中をものすごいスピードで”何か”が走り回り、ブワーっと舞い上がる床に散乱していた紙類。
突然の出来事に私達は身を寄せあいながら縮こまる事しかできませんでした。
しばらく茶の間の中を走り回るとその”何か”はドアを開けて出ていき、階段をバタバタとものすごい勢いで駆け上がっていきました。
去っていった”何か”に私達が安堵の溜息をついたのも束の間、ものすごい勢いで階段を掛け降りてきて茶の間の中は再び紙類が舞い上がりました。
今度はしっかりと猛スピードで茶の間の中を駆け回る黒い影を目で見てしまった私は(もう終った……)と全てを諦めましたが、父親さんに「早く!こっち!!」と手を引っ張られて入ってきた窓から外に出ました。
息も絶え絶えにグッショリと汗をかいた私達はひとまず自分の身の安全を確保した事に安堵しながらも、すぐに一向に姿の見えない子供達の事を思い出して焦り「あいつらどこ行ったんだ?家の中にもいないってどうゆう事だ?」と忽然と姿を消した子供達を再び探し始めました。
当てもなく再び中に入って探すのは危険だと思った私達が廃墟の周りを歩いていると少し離れた所に納屋の様な小さな小屋を見つけました。
(きっとあそこだ!)と一縷の希望を胸にその小屋の引き戸を開けると、案の定、中には子供達の姿がありました。
皆で身を寄せあい縮こまるようにして床に倒れていた子供達を見た瞬間、心臓が止まりそうになりましたが、近くに寄ると寝息を立てていたので一安心しました。
「おい!起きろ!!」とベシっと頬を叩いても起きない長男は気を失った様に爆睡。
他の子も同様で一切起きる気配が無いので私達は5人の子供達を手分けして車まで抱き抱えて運びました。
やっと見つかった子供達の姿に女性陣は泣きながら喜び、私と父親さんは煙草を燻らせながら廃墟の中で起きた事はとりあえず二人だけの秘密にしておく事にしました。
そして翌日、目を覚ました息子達に何が起きたか聞くと、友達に誘われて遊び半分にあの廃墟に行ったはいいけど、中に入った瞬間にポルターガイストの様な現象に見舞われ、しまいには黒い影に追いかけまわされているうちにあの小屋の中に入ってしまい、怖くて出られないでいるといつの間にか全員気を失っていたんだとか。
話を聞き終わった後、とりあえず息子達にガッツリと説教をして二度と心霊スポットには行かない事を約束させてお祓いに行きました。
一体私達の前に現れたあの黒い影はなんだったんでしょうか。
事件に関係する霊なのか、それとも廃墟になった後に棲みついた霊なのか。
どちらにしても危険な霊である事に変わりはないでしょう。
改めて心霊スポットには行くものじゃないと骨の髄まで思い知らされた恐怖体験でした。
若気の至りじゃ済まない、好奇心は猫をも殺す、生命に関わる事件になりかねない出来事ですね。
アグレッシブな霊が出現しましたね。
子供たちを探す親側視点は珍しかったのでワクワクした