【より子ちゃん事件】－中学生 朽屋瑠子-

UFOとキャトルミューティレーション専門のオカルト雑誌
「月刊モー」編集部に、朽屋(クチヤ)瑠子(ルコ)という
フリーの事件記者が出入りしている。

女だてらにめっぽうオカルトに強く、日本中を飛び回っては、
今日も不思議な事件を追いかける。

そんな朽屋にも、まだあどけなさの残る少女時代があった。
今回はそんな朽屋の少女時代のエピソードをつづる。

・・・・・・

朽屋の通っていた学校は中高一貫のミッションスクール。
彼女がこの学校に入るきっかけとなったのは、

幼少期から持っていた不思議な霊力についての悩みを
この学校と通じている教会の神父に相談したことがツテとなっている。

この神父の名をルーカ神父といい、イタリア本国の教会で活躍されていたのだが、
ある問題解決のために日本の支部に派遣されてきた人物である。

そのルーカ神父と朽屋がはじめて出会ったのは、朽屋がまだ10歳の頃だった。

10歳の朽屋は、ルーカ神父と母が話し合いをしている間、
暇つぶしのために教会内をあちこち見て回っていた。
昔から落ち着きのない子ではあった。

ふと見ると、ステンドグラスから射す木漏れ日のような光の中に、
ひとりの少女がたたずんでいるのが見えた。薄暗がりの中に現れたその少女は、

自分と同い年くらいに見えた。まるで透き通っているかのように白く、
うっすらと光っているように見えたその少女に、朽屋はツカツカと近づいて行った。

「こんにちわ～アタシ、くちやるこ、10歳!あなたは?」

「・・・くっちゃるこ・・・?」

「く～ち～や～、クチヤ　ルコ!」

くすっと笑う少女。

「ワタシ・・・名前、わかんない・・・」

「え～名前わかんないの??・・・そうかぁ。お互い名前では苦労してるんだね」

そんな、判ったような判んないような会話をしている時、
別室で話していた神父と朽屋の母親がこちらへやってきた。