【より子ちゃん事件】-中学生 朽屋瑠子-
投稿者:kana (210)
「あ~、お母さん来ちゃった。また今度遊ぼうね」
そう言って朽屋は女の子の方を振り返ったが、女の子はもう消えていた。
歩み寄って来たルーカ神父が興味深そうな目で朽屋を見る。
「キミが朽屋瑠子クンだね」
「ハイ、神父様」
「今、誰かとお話していなかったかい?」
「ハイ、そこにいたアタシくらいの女の子と・・・でもいなくなっちゃった」
「ほほぅ・・・。その子、なんて言ってた?」
「名前を聞いたの・・・そしたら自分の名前がわからないって言ってたわ」
「そうかい。・・・彼女は本当はちゃんとした名前があるんだけど、
お父さんに言っちゃダメって言われてるんだよ」
「え~、お父さんいじわる?」
「ははは。そんなことはないんだよ。他には・・・何かおもしろいものは見つけたかな?」
「あのね・・・あのね・・・神父様、怒る?」
「怒らないよ。なんでも言ってごらん」
「来るときに見たんだけど、教会の屋根の所に怪獣がいるの。
その目が、神父様そっくり・・・」
母親が注意する「瑠子ちゃん、ダメでしょそんなこと言ったら!」
「ゴメンなさいぃぃ~い」
神父は一瞬眉をひそめて怖い顔になったが、すぐに優しい笑顔になり、朽屋に語り掛けた。
「瑠子クンは目もいいんだね。アレはねイタリアではドッチオーネ、日本だとガーゴイルと
呼ぶことが多いんだけど、教会によくある伝統的なの飾りみたいなものなんだよ」
「へ~、ガーゴ・・・ガゴ・・・ガゴちゃんね」
「ははは。ガーゴイルのことをそんな風に呼んだのはキミが初めてじゃないかな」
「えへへ (*´σー`)」 (※別に褒められてはいない)
神父がまじめなトーンで母親に語り掛ける。
「お母さん、心配いりませんよ。彼女ならきっと自分の力をコントロールできるようになるでしょう。よかったら時々この教会に通わせてください。あと、もしよろしければ我が校に進学していただけると、より確実になりましょう」
「まぁ神父様、本当ですか?ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします」
・・・このようにして朽屋の進路は決まった。
本来ならば、霊能力や心霊などというものは教会では否定されて当たり前、朽屋親子も追い出されても文句は言えないはずなのだが、ルーカ神父は朽屋の才能をいち早く見抜き、また特殊な能力についても自身が体現していることから、むしろ肯定派であり、朽屋瑠子に対して非常に強い興味を持ったというわけだ。
kamaです。先ほど投稿させていただいた「より子ちゃん」の裏で起きていた一大事件を書かせていただきました。まず先に「より子ちゃん」を読まれてからこちらを読むと、面白さも倍増かと思います。
またこの「朽屋瑠子」シリーズも今回で4作目となりますので、合わせて他の朽屋瑠子シリーズも読まれると世界観が広がると思います。
あと、今回27ページもの大長編となってしまいました。頑張って読んでくれた方、ありがとうございます。・・・これだと誰も怪談朗読してくれないだろうから、そのうち自分でやろうかな・・・と思ってます。
まるで吸い込まれるような感じで、最後まで拝読させて戴きました。続きを早く読みたいです。
↑kamaです。27ページもあるのに読んでいただき感謝です。
朽屋瑠子シリーズは今後、短編をいくつか出しつつ、たまに長編みたいな、そんな感じで出して行こうと思ってます。
kamaです。
涼君が押し入れの鉱石採集セットを見つけてより子ちゃんに再開するシーンに、
『ローズクウォーツが抜け落ちた鉱石採集セットのように、
涼の心にもぽっかりと隙間が空いているようだった。』
という一文を追加させてもらいました。
・・・詩的でしょ?
まさに、涼君の鉱石セットのくだりがホロリと来ました。短編物も拝読させて戴きましたが、瑠子シリーズはスリルがあっていつまでも読みたくなります。
↑kamaです。ありがとうございます。どこかホロリとくるシーンがあるのって、いいですよね。怪談は怖い話ばかりじゃないと思いますし。
奇々怪々に「怖いボタン」以外も欲しいです~。
また楽しみにしていてくださいね。
ボクはより子ちゃんが泥だらけになっても涼君を追いかけるとこでホロリと来ました。
より子ちゃん単独の話だけ見ていると、子供の誕生日になぜ教会から出られないより子ちゃんが家まで来たのかわからなかったけど、これでつながりました。
↑kamaです。ありがとうございます。朽屋瑠子シリーズは、ボクの作品の裏で起きてる解決編みたいな構成で、オムニバス的に楽しめるようにしてます。これからもよろしくお願いします。
今まで投稿話の中で27ページという最長の話を投稿されたkama先生お疲れ様です。ところで今回の話も場合によっては改稿などで短くなるでしょうか?
↑kamaです。ありがとうございます。改稿の可能性は無いとは言えませんが、今のところは「やり切った感」が強いので、あったとしてもたぶん1年後とか、あるいは改稿しないか・・・という感じです。そうですね・・・やるとしたら戦争の歴史を説明している部分をもう少しはしょるとか・・・ですかね。でもあの部分もより子ちゃん親子がいかにして生涯を閉じたかの部分なのでバックボーンとしては残しておきたい気もしますし。まぁとりあえず今は次の作品を出すことの方を優先したいと思ってます。ありがとうございます。
色々な方の長編作品を読んでいた際にkana様のクッチャルコシリーズを見つけ、初投稿から読ませていただいているのですがこの話で先に読んでいた作品と繋がってとてもテンション上がりました…!!
本当に楽しく読ませていただいてます!!ファンです!!!