人違いで殺されかけた話
投稿者:with (43)
一応連絡先と通っている大学名は教える事になったが、男の処遇の報告やもしかしたら後日呼び出しするかもしれないからという理由も兼ねているそうだ。
そんな事があった数日後、案の定再びお巡りさんに呼び出されて行ってみると、今回は被害届を取り下げてほしいと男側の家族に頼み込まれたと申し訳なさそうに言われた。
被害届を出すも出さないも俺次第だと言われたが、俺が何で取り下げなければならないのか訊ねると、お巡りさんはあの男の素性について少し話してくれた。
何でも、あの初老の男はそもそもまだ四十代だそうだ。
それで数年前に娘を交通事故で亡くしたそうなんだが、それ以来頭がおかしくなったらしい。
公判でも暴れ倒す勢いだったそうで、娘を轢き殺した犯人は現在も服役中らしいのだが、どうにも犯人とよく似た背格好の若い男性にああやって当たり散らかしていると聞いた。
いや、もしかしたら本当に俺を娘を殺した犯人と誤認して強行に出たのかもしれないともいわれ、ちょっと怖くなった。
それほどあの男は精神的におかしくなっている状態だと言うのだ。
事情は可哀相だが、俺には関係のない事だ。
しかし、幸い俺は擦り傷なんかはあるが取り返しのつかない外傷は無い。
俺はお巡りさんに被害届を取り下げるかわりに、しっかりあの男を監視する事を約束させた。
「…てな感じで、やっぱりあのおっさんの人違いだったわ」
俺はお巡りさんから聞いた事を友達に話した。
友達は「すげえ体験したな。まあ、生きててよかったな」と俺の肩を叩いて、快気祝いではないが、俺の無事を称えて吉野家でご飯をおごってくれた。
そんな希少な体験をした僅か数日後、俺は奇妙な視線を感じるようになった。
大学までの通学中によくその手の視線を背中に感じるようになったのはつい最近で、電車の中や、一人で歩いている時なんかは振り返らずにはいられないほどに敏感になってた。
第六感と言うのか、何か危険が俺に差し迫っている感じだった。
俺の予感は当たっていた。
ある日、友達と別れた後に混雑した電車に揺られていると、ふとその視線の元凶を見つけてしまったのだ。
あの男だった。
男は能面を張り付けたような表情で俺のことをじっと見つめていた。
(え?なんであのおっさんが居んの?)
男が同じ電車に居る理由を考えていたが、どうやっても俺に用がある以外に思いつかなかった。
いや、近場の街であの男と遭遇したのだから、生活圏内は被っている可能性は無くも無いが、それにしたってこうやって凝視されているとその可能性は薄そうだ。
俺はさっと視線を逸らして降りる駅になると一目散に電車から飛び降りて速足で改札を抜けた。
それで駅を飛び出すとすぐに路地の影に駆け込んで駅の出入口を遠目から観察する。
すると、少し遅れてやっぱりあの男が飛び出して来た。
そして、キョロキョロと誰かを探す素振りを見せると、諦めたかのように駅に戻っていったのだ。
あれはどう見ても俺を尾行している人間の動きだった。
俺は自宅に戻った後、すぐさまお世話になったお巡りさんの交番に連絡した。
どんな理由にせよ助かって良かったです。
幽霊より怖いわ
文章上手いし読みやすかった
友人の反応からガチな感じする
やっぱり一番怖いのは生きている人間ですね
人違いなのにこんなんに目付けられたら溜まったもんじゃないね…
友達が黒幕ってことか
友達サイコパス。
もう死刑でいいだろ
頭イカれてるやつは終身刑にしてほしいね
そうゆう奴は死刑だろ
加害の可能性がある基地を野放しとは…。どんな事情とかは人違いで襲われた方には知ったこっちゃないし、ホンモノの娘の加害者と同じ檻ん中入れて勝手にやっちゃってくれればいいよと言いたくなるな。