私は、小学生の頃、毎週末を祖父母の家で過ごしていました。
祖父母の家は、築30年ほどのそれほど古い家ではありませんでしたが、使用しない部屋が多いせいか家全体が薄暗い建物でした。
その日も、祖父母と買い物に出かけて夕食を買ってきて、祖母とお風呂に入り、三人で食卓を囲みながらテレビを見ていました。
既に、その日から現在まで30年の月日が流れていますが、あの夜の事は今でもしっかりと覚えています。
私の左隣には祖母が座り、私の右側には祖父が座っていました。
私の正面には廊下へと通じる引き戸があり、引き戸の上には窓が付いていました。
祖母の隣にはテレビがあり、私達はテレビを見ていました。
ちょうど、テレビがCMに入り、私はふと、テレビから引き戸の上の窓に目を移しました。
それは、毎週末泊まりに行っては目にしている普通の光景でした。
引き戸を開けると、廊下に出る事は知っていましたし、その廊下沿いにはどんな部屋があって、その部屋がどのように使われているのかも熟知していました。
そして、この家には、祖父と祖母と私しかいない事も。
しかし、その時目にした引き戸の上の窓には、当時小学生だった私でも分かる程はっきりとした、男性と思われる人物の顔がありました。
私は、思わず大声を出し、祖父母に知らない男性がこちらを見ていると伝えました。
祖父はすぐに引き戸を開けましたが、そこには誰もいません。
三人で家の中を探しましたが、誰もいませんでした。
祖父母は「よくある事だ」と言いましたが、30年たった今でも忘れられないエピソードです。
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